働きながらの国試勉強は、「時間の多さ」ではなく「時間の使い方」が勝負です。月100時間(1日あたり3〜4時間前後)を前提に、どのように勉強時間を組み立てれば合格ラインに届くのかを整理します。
月100時間でも十分“戦える”理由
フルタイムで働きながら受験をする既卒生にとって、「勉強時間が圧倒的に足りない」と感じるのは自然なことです。しかし、月100時間=1日平均3〜4時間前後あれば、戦略次第で合格ラインを狙うことは十分可能です。
月100時間のイメージを日割りにすると、次のようになります。
- 平日:2.5〜3時間 × 20日 = 50〜60時間
- 休日:6〜7時間 × 6〜8日 = 40〜50時間
これらを合わせると、合計90〜110時間ほどになります。この枠の中で「何にどれだけ配分するか」「どこを捨てて、どこに厚く時間を投資するか」を決めることが、既卒・社会人受験生のスケジュール術の要です。
ここで大事なのは、「新卒と同じ勉強量を目指す」のではなく、「合格点に必要な範囲だけを、きっちりやり切る」という発想に切り替えることです。
働きながら合格する人に共通する3つの戦略
戦略1:「やることを減らす」勇気を持つ
合格している既卒生ほど、「あれもこれも」と教材に手を出してはいません。限られた時間の中では、「どれだけやるか」よりも「何を削るか」が重要になります。
- テキストは1冊に絞る。
- 過去問集は1〜2冊に絞る。
- 必修対策本を1冊用意し、それを軸にする。
教材ジプシーになると、それだけで貴重な時間とエネルギーが削られます。「この3〜4冊をやり切る」と決めて、それ以外は“見ない勇気”を持つことが、月100時間勉強の前提になります。
戦略2:「時間のブロック」を先にカレンダーに入れる
働きながらだと、「疲れたから今日はいいか」となりやすく、気づけば1週間ほとんど勉強していなかった…ということも起こりがちです。合格している既卒生は、「時間があったら勉強する」のではなく、「勉強時間を先に予定に入れてしまう」という共通点があります。
- 平日の「朝1時間+夜2時間」を固定する。
- 通勤中は必ず一問一答や必修ノートを見ると決める。
- 休日の午前・午後を、それぞれ「勉強ブロック」として予定に入れておく。
勉強時間を“残り時間”から絞り出すのではなく、「先にブロックして、残りの枠に仕事やプライベートを載せる」くらいの意識が、働きながらでも合格する人の特徴です。
戦略3:「疲れていてもできるメニュー」を持っておく
仕事終わりに毎日3時間の問題演習を続けるのは、現実的にかなり厳しいです。そのため、「今日はしんどい」という日でもできる“軽めの勉強メニュー”を準備しておくことが重要です。
- 体力がある日:過去問演習+解説をじっくり読む。
- 少し疲れている日:まとめノートや解説部分の読み返し。
- かなり疲れている日:必修ノート・一問一答・音声講義を聞き流すだけでもOKにする。
「勉強ゼロの日を作らない」ことがポイントです。10〜20分だけでもできるメニューをいくつか用意しておくと、学習習慣を途切れさせずに継続できます。
月100時間で回す4週間スケジュールモデル
ここからは、月100時間を前提に、「4週間=1サイクル」として回すスケジュールモデルを紹介します。実際の勤務形態や生活リズムに合わせて、時間配分は調整してください。
第1週:現状把握と“軸づくり”の週
目的:今の実力を把握し、使う教材と勉強の方針を固める。
平日(1日2.5〜3時間の例)
- 通勤・スキマ(30〜40分):必修一問一答やアプリ、必修ノートの確認。
- 朝 or 夜(2〜2.5時間):総合問題や過去問を20〜30問解き、間違えた問題に印をつけて解説をじっくり読む。
休日(1日6〜7時間の例)
- 午前:模試や総合問題を1セット(時間を測って解く)。
- 午後:復習タイム。知識不足とケアレスミスに分けて分析し、ケアレスミス用のメモを作る。
- 夜:出題基準の印刷・チェックリスト化。よく使うテキスト・過去問集・必修本を「このセットでいく」と決定する。
この週のゴール:自分の弱点領域がはっきりし、使う教材が3〜4冊に絞れている状態にすることです。
第2週:頻出領域に“厚く投資”する週
目的:合格点に直結する頻出科目から、優先的に点を取りにいく準備をする。
ここでは、次のような領域を優先します。
- 成人看護(循環・呼吸・代謝・腎などの主要疾患)
- 老年看護(高齢者の特徴・転倒・認知症・せん妄など)
- 必修テーマ(感染・統計・社会保障・安全など)
平日(1日2.5〜3時間)
- 通勤・スキマ(30〜40分):必修一問一答や必修ノート。
- 夜(2〜2.5時間):曜日ごとに科目を固定し、テーマ別に過去問10〜20問+解説読み。
例:月=循環器、火=呼吸器、水=代謝・内分泌、木=腎・泌尿器、金=老年。
休日(1日6〜7時間)
- 午前:成人の2テーマをまとめて演習(例:循環+呼吸)。
- 午後:老年看護と必修の演習。
- 夜:×だった問題だけを集めた「間違いノート」を作る。
この週のゴール:成人・老年の頻出テーマに1周目の目処がつき、必修ノートを毎日見る習慣がつき始めている状態です。
第3週:全範囲をなぞりつつ、状況設定を強化する週
目的:主要領域以外(小児・母性・精神・在宅・公衆衛生など)に一通り触れ、状況設定問題への苦手意識を減らす。
平日(1日2.5〜3時間)
- 通勤・スキマ:必修・一問一答。
- 夜:曜日ごとに領域を割り振り、小児・母性・精神・在宅・公衆衛生などの基礎的な過去問を10〜20問ずつ解く。
また、週に2回ほど「状況設定デー」を作り、
- 状況設定問題を2〜3ケース解く。
- 「先に設問を見る → 本文で情報を拾う → 観点(安全・優先度・患者の気持ち)で選択肢を絞る」という読み方の型を必ず使う。
休日(1日6〜7時間)
- 午前:一般・状況を模試形式で通し演習。
- 午後:復習。特に状況設定問題の「読み方」と「判断の根拠」を確認する。
- 夜:間違いノートと出題基準チェックリストを照らし合わせ、触れていない項目がないか確認する。
この週のゴール:全ての領域に一度は触れており、状況設定問題の読み方の型がなんとなく身についている状態です。
第4週:弱点つぶし&本番リズム調整の週
目的:弱点領域とケアレスミスを集中的に潰しながら、生活リズムを本番仕様に寄せていく。
平日(1日2.5〜3時間)
- 通勤・スキマ:必修・一問一答。
- 夜:間違いノートを基準に「弱点潰しデー」を設定。
例:月=成人の弱点、火=必修の弱い分野、水=老年・在宅、木=状況設定の復習、金=ケアレスミス対策。
休日(1日6〜7時間)
- 本番と同じ時間帯に、午前・午後に分けて模試形式で問題を解く。
- 復習では、点数だけでなく「ケアレスミスの数」「必修の得点」「領域ごとの得点」を記録し、翌月に向けて重点的にやるべきことを3つに絞る。
生活リズム面:起床・就寝時間を本番当日に合わせて整え、仕事がある日でも「試験本番と同じ時間帯に一度は頭を使う」ように、朝勉強などを取り入れていきます。
月100時間でも“点の取り方”を設計すれば合格圏内に入れる
働きながらの既卒受験で大切なのは、「勉強時間の多さ」ではなく、「限られた月100時間をどれだけ点数に変えられるか」です。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 教材は3〜4冊に絞り、「やることを減らす勇気」を持つ。
- 平日・休日の勉強ブロックを先にスケジュールに入れ、「時間の先取り」をする。
- 疲れていてもできる軽めのメニュー(必修・一問一答・音声)を準備し、「ゼロの日」を作らない。
- 4週間ごとに、現状把握・頻出領域強化・全範囲+状況設定・弱点つぶしと、本番リズム調整という“テーマ”を決めて回す。
- 模試や演習の結果は、点数だけでなく「どこに時間を足せば一番伸びるか」を判断する材料として活用する。
「働きながらだから不利」であることは事実ですが、その中でも毎年必ず合格している既卒生がいるのも事実です。月100時間という現実的なラインの中で、自分に合った配分と優先順位を決め、今日から少しずつスケジュールを組み立てていきましょう。


