新卒vs既卒 合格率の現実|第115回の統計から読み解く勉強の重要性

新卒vs既卒 合格率の現実|第115回の統計から読み解く勉強の重要性

新卒と既卒では、合格率に明らかな差があり、第115回でも「新卒が有利」という現実は変わっていません。ただし、その差は「才能」ではなく、「学習環境」と「勉強の継続性」の違いが大きな要因です。

第115回の数字が語る“スタートラインの違い”

第115回看護師国家試験の全体合格率は約9割近くに達し、「合格しやすい試験」という印象を持った人も多いと思います。しかし、内訳を見ると、新卒と既卒のあいだには、例年どおりはっきりとした差が存在します。

一般的な傾向として、看護師国家試験では毎年、次のような構図が続いています。

  • 新卒:全体平均より高い合格率(90%台前後)
  • 既卒:新卒より低い合格率(50〜60%台前後)

第115回も例外ではなく、「全体合格率の高さ=誰でも簡単に受かる」という話ではありません。ここで重要なのは、「新卒か既卒か」というラベル自体が合否を決めているのではない、という視点です。

むしろ、次のような「環境の差」が、結果として新卒と既卒の合格率の差として現れていると考えた方が現実的です。

  • 日々の授業・実習と結びついた学習
  • 周囲に一緒に国試勉強をしている仲間がいるかどうか
  • 教員や予備校からの継続的なサポートがあるかどうか

こうした前提を踏まえたうえで、「新卒がなぜ有利なのか」「既卒はなぜ合格率が下がりやすいのか」を、もう一段深く見ていきます。

新卒が高い合格率を維持しやすい3つの理由

第115回を含め、ここ数年の状況を眺めると、新卒が高い合格率を維持しやすい理由は、難しい理屈ではなく、とても実務的なものだと分かります。ここでは、大きく3つのポイントに分けて整理します。

1)学習リズムが「入学時から国試モード」になっている

新卒の場合、3年制・4年制を問わず、入学したその日から少しずつ国試に向けて積み上げてきています。解剖生理、基礎看護、成人・老年・小児・母性、在宅・精神、そして看護研究や統計まで、授業・レポート・実習・小テスト・校内模試がすべて「国試につながる線」でつながっています。

そのため、新卒の受験生は国試直前期に、「すべてがゼロからの暗記」ではなく、「既に触れたことのある内容を総復習していく」というモードに入りやすいのが特徴です。記憶の“初回入力”がすでに済んでいる分、国試勉強の多くを「強化」と「整理」に使うことができます。

2)仲間と教員・学校のサポートが“背中を押す”

もう一つの大きな要因は、周りの存在です。新卒は、同じ教室・実習グループ・コミュニティの仲間たちと一緒に、国試に向けて走ることができます。

  • 同じ模試を受けて、偏差値や順位を共有する
  • 放課後に自習室で勉強する
  • 解けなかった問題を友人同士で教え合う

といった、日常的な「刺激」と「支え」が、学習リズムの乱れを防いでくれます。さらに、学校側も「合格率」が重要な評価指標になるため、国試対策講座や補講、定期的な面談など、組織的な支援を用意していることが少なくありません。

このように、新卒は「自分一人だけの努力」ではなく、「集団の空気と仕組み」に乗った勉強がしやすいのです。

3)知識がまだ“温かいうち”に受験できる

新卒と既卒の違いで見落とされがちなのが、「知識の鮮度」です。在学中は、授業・実習・レポートで何度も同じキーワードに触れるため、知識が常に更新されています。

一方、既卒になると、臨床現場に出れば「現場でよく使う知識」だけが強化され、看護から一時的に離れれば、学習そのものから遠ざかってしまうこともあります。そうなると、国試に必要な「広く浅く+ところどころ深く」の知識のバランスが崩れがちです。

新卒は、まだ国家試験の出題範囲全体が自分の頭の中で“温かい状態”にあるため、総復習の効率が高くなります。その分、同じ時間勉強しても、新卒の方が点数が伸びやすいのは自然なことだといえます。

既卒の合格率が下がる「本当の理由」と、その誤解

では、なぜ既卒の合格率は下がりやすいのか。この問いには、「誤解」と「現実」の両方の側面があります。それぞれを分けて整理してみましょう。

1)「既卒=学力が低い」は、事実ではない

まず最初にハッキリさせたいのは、「既卒であること」と「学力が低いこと」はイコールではない、という点です。既卒になった理由は、人それぞれです。

  • 家庭の事情や体調不良で、一度受験を見送った
  • 就職活動や卒業研究などで十分な勉強時間が取れず、初回受験で不合格になった
  • 一度臨床に出てから、改めて正規職員として働くために国家資格を目指している

こうした状況は、「能力不足」ではなく、「タイミングや環境の問題」であることが多いはずです。にもかかわらず、「既卒だから自分はダメなんだ」と自分を過小評価してしまうと、勉強に向けるエネルギーそのものが削がれてしまいます。

2)孤独と情報格差が勉強の“ブレーキ”になる

既卒の受験生が直面しやすいのは、「気持ちの問題」だけではありません。具体的な環境面でも、いくつかのハードルがあります。

  • 一緒に勉強する仲間が身近にいない
  • 学校の自習室や図書室が使えない
  • 模試や参考書選び、最新の出題傾向の情報を自力で集める必要がある

つまり、「学習情報」と「勉強時間」と「モチベーション」を、自分で同時に管理しなければならないのです。これは、在学生である新卒と比べると、明らかに負担が大きい条件だと言えます。

3)「勉強の感覚」が薄れてしまう

もう一つの現実的な課題が、「勉強の感覚」が薄れてしまうことです。長時間机に向かう集中力や、分からないところを調べてノートに整理し直す根気、過去問を解いて解説を読み込み、自分の言葉に置き換える作業は、一度止めてしまうと再開するのにエネルギーが必要です。

臨床でハードに働きながら勉強する既卒の方は、「勉強する体力」と「働く体力」の両方を同時に捻出しなければならず、それが合格率の差として現れやすくなります。

第115回の統計から導く「新卒・既卒それぞれの戦い方」

ここまでの話をまとめると、第115回の結果が教えてくれるメッセージはとてもシンプルです。「新卒は環境の追い風を最大限に活かせる」「既卒は環境の向かい風を前提に戦略を立てる必要がある」、そしてどちらにも共通しているのは、「勉強の重要性」そのものだということです。

1)新卒が「合格率の高さ」を自分のものにするために

新卒のあなたが意識したいのは、「高い合格率に安心して足を止めない」という姿勢です。「学校の合格率が高いから、なんとかなるだろう」「周りも勉強しているし、模試も受けているから大丈夫」といった感覚に流されてしまうと、最後の数点差でボーダーを下回るリスクがあります。

  • 模試の結果を、偏差値や順位ではなく「科目別の正答率」で分析する
  • 苦手分野を「授業のプリント」「実習ノート」「過去問」で三方向から復習する
  • 国試直前期は、「新しい問題集」に手を広げるより「解いた問題の解き直し」に比重を置く

新卒は「スタートラインが前にある分、ゴールに届きやすい」。だからこそ、そのアドバンテージを当然視せず、着実に積み上げていくことが大切です。

2)既卒が「合格率の壁」を乗り越えるための4つの工夫

既卒のあなたに必要なのは、「新卒と同じ戦い方をしない」という割り切りです。環境が違うからこそ、戦略も変える必要があります。ここでは、4つの工夫を提案します。

①「時間を確保する」ことを、最優先のタスクにする

どれだけ良い教材を持っていても、「手をつける時間」がなければ意味がありません。シフト制で働いている場合は特に、1週間単位で勉強時間をブロックしたり、勉強しない日をあえて作る代わりに「勉強する日」を必ず守るなど、無理のない勉強リズムを設計することが重要です。

②「出題範囲を全部やる」ではなく「頻出から固める」

既卒の強みは、「過去に一通りは勉強したことがある」という点です。これを活かすために、全科目を一からやり直すのではなく、「頻出分野」から再スタートする戦略が有効です。

  • まずは「必修対策」と「各科の王道パターン問題」を完璧にする
  • 難問よりも、「一見簡単そうなのに落としがちな問題」を重点的に見直す
  • 完璧主義より、「合格点を超えるために必要な部分から固める」と割り切る

こうした優先順位づけが、限られた勉強時間でも合格率をぐっと引き上げてくれます。

③「一人勉強」にならない工夫を、あえて作る

既卒の勉強で一番つらいのは「孤独」です。これを軽減するために、予備校のオンライン講座や模試を活用して「同じ問題を解く仲間」がいる状況を作ったり、SNSや勉強コミュニティで「同じ既卒受験生」の発信をフォローするなど、小さくてもいいのでつながりを作ることがおすすめです。

また、週1回だけでも、友人や家族に「勉強した内容」を話してアウトプットするだけでも、理解と記憶の定着は大きく変わります。

④「落ちた理由」を、点数と行動レベルで言語化する

もし前回の受験で不合格だった場合、「何点足りなかったのか」「どの科目・どの分野が弱かったのか」をできるだけ具体的に言語化してみてください。

  • 必修が40点に届かなかったのか
  • 一般・状況設定で、あと何点足りなかったのか
  • 過去問はどのくらい解いたのか、直前1か月の勉強時間はどれくらいだったのか

こうした「数字」と「行動」の記録は、次の受験での強力な指針になります。感情だけで「自分はダメだった」とまとめてしまうのではなく、「ここを変えれば合格に近づける」という具体的な改善点を見つけていくことが、既卒の合格率を底上げするカギです。

新卒でも既卒でも、「統計上の合格率」はあくまで全体の話であって、あなた個人の結果を決めるものではありません。大事なのは、「自分はどんな環境にいて、何が得意で、どこが弱いのか」を一度しっかり言語化し、それに合わせた勉強の仕方を選ぶことです。

いまのあなたの状況は「在学中の新卒予定」「臨床で働きながらの既卒」「一度離職して勉強に専念している既卒」のどれに一番近いでしょうか。

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