看護師国試で必ず出る疾患10選|最新出題基準から徹底解説
看護師国家試験の最新の出題基準をふまえると、「頻出疾患」を漫然と暗記するだけでは合格ラインに届きにくくなっています。本記事では、令和5年版出題基準の流れを押さえたうえで、「国試で必ず出る疾患10選」を順を追って解説します。
なぜ「頻出疾患10」を固めるべきか
看護師国家試験の出題基準は数年ごとに改定され、現在は令和5年版が用いられています。この改定では「感染症」「在宅医療」「老年」「統合と実践」などの領域が強調され、臨床のリアリティを反映した疾患・事例が問われやすくなりました。
出題基準は、「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」「健康支援と社会保障制度」などの枠組みで整理され、各領域ごとに疾患名が明示されています。新基準では「全身の感染性疾患」「皮膚機能」が大項目に追加され、感染症と皮膚トラブルに関連する疾患の比重が高まっています。「看護の統合と実践」では、単に疾患の知識だけでなく、生活背景や家族・社会資源を含めて優先度の高い看護を選ばせる事例問題が増えています。
さらに、統計データや国民の疾病構造を背景にした出題も定着しています。例えば総患者数で多い疾患として、高血圧性疾患、糖尿病、悪性新生物、心疾患などがあり、これらは国試でも繰り返し問われる重要疾患です。
そこで本記事では、厚生労働省の出題基準と、過去の分析・頻出疾患解説書などを参考に、「国試で必ず押さえておきたい10疾患」を厳選しました。それぞれについて「なぜ出るのか」「どこが問われやすいか」「看護のポイント」を軸に整理します。
看護師国試で必ず出る疾患10選
ここでは、「循環器」「呼吸器・感染」「代謝・内分泌」「腎」「脳・運動器」「小児」「がん・血液」「精神」「老年」「横断的テーマ」という視点で10疾患を取り上げます。
1.急性心筋梗塞(虚血性心疾患)
虚血性心疾患は出題基準で明示されている循環器疾患であり、心筋梗塞は必修レベルから応用まで幅広く問われます。状況設定問題では、発症時の行動(救急外来での初期対応、モニタリング、家族への説明)が一連の流れで問われることが多くなっています。
問われやすいポイントは以下の通りです。
- 病態:冠動脈の急激な閉塞による心筋壊死、狭心症との違い。
- 典型症状:胸痛(絞扼感・圧迫感)、冷汗、呼吸困難、放散痛など。
- 検査:心電図変化(ST上昇、異常Q波など)、心筋酵素(CK-MB、トロポニン)。
- 治療:再灌流療法(PCI、血栓溶解療法)、安静、酸素投与、鎮痛など。
- 看護:疼痛・不安の軽減、安静度管理、合併症(心不全、不整脈、心原性ショック)の早期発見。
2.肺炎・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
新出題基準では、感染症と高齢者の呼吸器疾患が重視されており、肺炎やCOPDは老年看護の領域とも強く結びついています。特に高齢者肺炎は、「在宅・施設・病院」をまたぐ生活の連続性の中での予防とケアが問われやすくなっています。
- 肺炎:高齢者に多く、誤嚥性肺炎や市中肺炎などが頻出。
- COPD:喫煙歴、慢性の咳・痰・労作時呼吸困難が特徴で、老年看護の「高齢者の疾患」にも明示。
- 検査・治療:胸部X線、血液ガス、抗菌薬、酸素療法、吸入薬、呼吸理学療法など。
- 看護:体位ドレナージ、口腔ケア、誤嚥予防、禁煙指導、在宅酸素療法の指導など。
3.2型糖尿病
総患者数の多さからも、糖尿病は統計問題と疾患問題の両方で頻出です。生活習慣病として、保健医療・社会保障制度との関連(医療費、特定健診・特定保健指導など)も絡めて問われることがあります。
- 病態:インスリン分泌低下とインスリン抵抗性により高血糖が持続する疾患。
- 合併症:網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化症などの慢性合併症が重要。
- 検査:空腹時血糖、HbA1c、尿蛋白、眼底検査など。
- 治療:食事療法、運動療法、経口血糖降下薬、インスリン療法。
- 看護:自己管理支援(血糖測定、食事・運動の継続)、低血糖・高血糖の兆候の理解、フットケア。
4.慢性腎不全・ネフローゼ症候群
腎疾患は、体液・電解質管理と結びついて、必修から応用まで安定して出題されています。透析患者の在宅生活や就労、社会資源の活用など、社会的側面も一緒に問われる傾向があります。
- 慢性腎不全:腎機能が徐々に低下し、透析導入に至る疾患群。尿毒症症状、貧血、電解質異常(高カリウム血症など)がポイント。
- ネフローゼ症候群:高度の蛋白尿と低アルブミン血症、浮腫、高脂血症を特徴とする症候群。
- 治療:食事療法(塩分・水分制限など)、利尿薬、ステロイド・免疫抑制薬、透析療法など。
- 看護:体重・尿量・浮腫の観察、シャント側の管理(透析患者)、感染予防、自己管理教育。
5.脳梗塞・大腿骨頸部骨折(脳・運動器)
脳血管障害と大腿骨頸部骨折は、高齢者の要介護化の主要原因であり、老年看護・リハビリ・在宅まで含めた出題が増えています。出題基準では、老年看護学の「高齢者の疾患」として、脳血管疾患後遺症や骨折が明示されており、今後も頻出が続くと考えられます。
- 脳梗塞:片麻痺、失語、感覚障害、嚥下障害などが主な症状。急性期のt-PA療法やリハビリ開始のタイミングが問われることもある。
- 大腿骨頸部骨折:転倒を契機に発症し、手術(人工骨頭置換術など)と術後早期離床が重要なテーマ。
- 看護:嚥下機能の評価と誤嚥予防、褥瘡予防、拘縮予防、ADLの再獲得支援、家族への介護負担軽減の支援。
6.小児:川崎病
小児科領域では、川崎病が頻出疾患として「必ず押さえたい疾患」に位置づけられています。小児看護では、家族看護・成長発達との関連もセットで問われることが多いため、「親への説明内容」を具体的にイメージしておくと解答しやすくなります。
- 特徴:乳幼児に多い全身性血管炎で、発熱、眼球結膜の充血、口唇の紅潮・いちご舌、発疹、四肢末端の紅斑・硬性浮腫、頸部リンパ節腫脹などが主症状。
- 合併症:冠動脈瘤や心筋梗塞が重篤な合併症として重要。
- 治療:免疫グロブリン大量静注療法、アスピリン投与など。
- 看護:発熱時の全身状態観察、心合併症のモニタリング、保護者への説明と不安軽減、退院後のフォロー・受診継続の支援。
7.がん(胃がん・大腸がん・乳がん・肺がんなど)
出題基準には消化器や乳腺、呼吸器など各領域で悪性腫瘍が明示されており、頻出疾患解説書でも複数のがんが重要視されています。がん看護は「看護の統合と実践」での長文事例にも頻出で、患者と家族へのコミュニケーション、治療選択の支援、意思決定支援などが重ねて問われています。
- 消化器がん:胃がん・大腸がんなど。症状・検査(内視鏡、便潜血など)と治療(手術、化学療法、放射線療法)がポイント。
- 乳がん:しこり、乳頭分泌、くぼみ徴候などの初期症状、自己検診やマンモグラフィなどの早期発見が問われる。
- 肺がん:喫煙との関連、咳・血痰・呼吸困難などの症状、画像診断がポイント。
- 看護:疼痛コントロール、がん告知後の心理的支援、副作用管理、緩和ケアや終末期看護。
8.白血病(血液疾患)
血液疾患の中でも白血病は、頻出疾患として安定して出題されています。無菌室での生活に対する心理的サポートや、長期療養に伴う学校生活・家族生活の変化なども、事例問題で扱われやすい視点です。
- 特徴:骨髄での白血球の異常増殖により、貧血、感染傾向、出血傾向が出現。
- 検査・治療:血液検査、骨髄検査、化学療法、造血幹細胞移植など。
- 看護:感染予防(清潔操作・環境整備)、出血予防(外傷予防、口腔ケア)、副作用管理(悪心・嘔吐、脱毛、粘膜炎)。
9.統合失調症(精神疾患)
精神看護領域では、統合失調症が頻出疾患として位置づけられています。出題基準では「精神障害者の地域生活支援」「多職種連携」も重視されており、退院後の就労支援や福祉サービスの活用まで含めた支援が問われています。
- 特徴:陽性症状(幻覚・妄想・思考障害)、陰性症状(感情の平板化、意欲低下など)。
- 治療:抗精神病薬、精神療法、リハビリテーション、地域生活支援。
- 看護:幻覚・妄想への対応(否定よりも事実確認と安心の提供)、服薬管理、再発予防、家族へのサポート。
10.感染症(インフルエンザ・結核・HIV・新興感染症など)
令和5年版出題基準で大項目として強調されたのが「全身の感染性疾患」であり、多くのウイルス・細菌感染症が例示されています。新興感染症の流行を背景に、感染症の問題は今後も高頻度で出題されることが予想されます。
- ウイルス感染症:インフルエンザ、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、コロナウイルス感染症、HIV感染症など。
- 細菌感染症:結核、コレラ、破傷風、梅毒など。
- 共通ポイント:感染経路(飛沫・空気・接触・血液など)、潜伏期間、ワクチンの有無、標準予防策と感染経路別予防策。
- 看護:隔離方法、個人防護具の選択、曝露後対応、患者・家族・地域への感染予防教育。
疾患と出題基準のつながりを整理する
ここまで挙げた10疾患は、単に「よく出る」だけでなく、現行の出題基準で明確に位置づけられている点が重要です。出題基準と疾患の関係を整理すると、学習の優先順位がつけやすくなります。
以下に、出題基準と頻出疾患の対応をざっくり整理します。
| 領域・キーワード | 関連する頻出疾患例 |
|---|---|
| 循環器(虚血性心疾患) | 急性心筋梗塞 |
| 呼吸器・感染症 | 肺炎、COPD、インフルエンザ、結核 |
| 代謝・内分泌 | 2型糖尿病 |
| 腎・体液・電解質 | 慢性腎不全、ネフローゼ症候群 |
| 老年看護学「高齢者の疾患」 | 脳梗塞後遺症、大腿骨頸部骨折、COPD |
| 小児看護学 | 川崎病 |
| がん看護 | 胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・白血病 |
| 精神看護 | 統合失調症 |
| 感染症・全身感染 | インフルエンザ、麻疹、風疹、HIV、結核など |
| 看護の統合と実践 | がん終末期、在宅療養中のCOPD・心不全などの事例 |
このように、1つの疾患が複数領域にまたがることも多く、例えばCOPDは「呼吸器」「老年」「在宅」「統合と実践」の全てで想定されます。この「またがり方」を意識すると、1疾患を深く理解することで、複数の領域問題に対応でき、勉強効率が大きく上がります。
頻出疾患を「点」から「面」で理解する勉強法
頻出疾患10を覚えるうえで大切なのは、「疾患ごとに毎回ゼロから暗記する」のではなく、共通のフレームで整理することです。そうすることで、事例問題にも対応しやすくなります。
1.共通フレームで整理する
どの疾患でも、以下の流れで整理すると、事例問題にも対応しやすくなります。
- 病態:何がどう壊れて症状が出ているのか(心筋への血流低下、肺胞の炎症、インスリン抵抗性など)。
- 主要症状:患者が最初に訴える症状と、進行に伴う症状。
- 検査:確定診断や重症度評価に必要な検査。
- 治療:薬物療法、手術、リハビリ、生活指導。
- 看護:観察ポイント、リスク管理、生活・家族支援。
同じテンプレートでノートを作ると、疾患間の比較や関連性が見えやすくなり、統合的な理解につながります。
2.生活・背景までイメージする
「看護の統合と実践」では、疾患の知識だけでなく、患者の生活背景・家族・仕事・地域資源などが一体で提示されます。このような場面を思い浮かべながら、「今この場面で最も優先すべき看護は何か?」を考える練習が重要です。
- 糖尿病:働き盛りの会社員が仕事のストレスで食事療法を継続できない。
- COPD:長年の喫煙歴があり、一人暮らしの高齢者が在宅酸素療法を開始する。
- 統合失調症:発症により就労が困難になり、家族の介護負担が増大する。
3.統計・社会保障とつなげる
統計問題では「総患者数」「死因」「医療費」などのデータが問われますが、そこで上位に挙がる疾患は、そのまま頻出疾患にも重なります。これらの疾患は、医療費や介護保険、特定健診など、社会保障制度とも関連づけて理解しておくと、複数科目をまたいだ問題にも対応しやすくなります。
頻出疾患10を味方につけて国試を突破する
看護師国家試験は、単なる暗記テストから「現場で使える統合的な判断力」を問う試験へと変化しています。その中で「頻出疾患10」は、全体の学習の土台になる重要なテーマです。
- 出題基準で位置づけられた疾患を、共通フレーム(病態・症状・検査・治療・看護)で整理する。
- 統計・社会保障・在宅・老年・精神など、他領域とのつながりを意識する。
- 事例問題を通して、「この場面で最も大切な1つ」を選ぶ練習を繰り返す。
すべてを広く浅く押さえようとするのではなく、頻出疾患を深く理解し、他領域へと応用できる形で整理しておくことが重要です。本記事で挙げた10疾患を軸に、自分なりのノート作りや問題演習を積み上げていけば、国試本番で「見たことがある」「考え方が分かる」問題が確実に増えていきます。

