【第115回分析】看護師国家試験のボーダーライン推移|合格基準を15年間で徹底比較

【第115回分析】看護師国家試験のボーダーライン推移|合格基準を15年間で徹底比較

第115回を含む15年間のデータを見ると、「必修は8割で固定」「一般・状況設定はおおむね6割強だが年ごとの上下が大きい」という構図がはっきり見えます。

そもそも“ボーダーライン”とは何か

看護師国家試験のボーダーラインとは、「合格するために必要な最低点(合格基準点)」を指し、必修問題と一般・状況設定問題で別々に定められています。厚生労働省が毎年の試験後に正式発表するもので、試験前に正確な点数を知ることはできませんが、過去の推移から大まかな目安はつかめます。

合格判定は、次の2つの条件を両方満たした場合にのみ「合格」となります。

  • 必修問題:原則 40点以上(50点満点、正答率約80%)
  • 一般問題+状況設定問題:その年に厚生労働省が定める合格基準点以上(250点満点)

第115回(2026年)は、この一般・状況設定問題のボーダーが「249点満点中 166点」とされ、全体の合格率は 88.3% と報告されています。一見すると難しく感じますが、配点比率に直すと「必修は8割、一般・状況設定は約6割強」を取ることが基本ラインだとわかります。

第115回ボーダーの“位置づけ”を過去データで確認する

まずは、第115回を含む最近8回分のボーダーを、数字で整理してみます。一般・状況設定問題の合格基準点に注目すると、各年の難易度のイメージがつかみやすくなります。

直近8回のおおまかな傾向は次のとおりです。

  • 第108回(2019年):おおむね 6割強(150点台半ば)
  • 第109回(2020年):106〜108回と近い水準で、標準的
  • 第110回(2021年):やや高め(150点台後半〜160点弱)
  • 第111回(2022年):直近で最も高い水準(160点台後半)
  • 第112回(2023年):一転して低め(150点台前半)
  • 第113回(2024年):再び平均的な水準(150点台後半)
  • 第114回(2025年):ここ10年で最も低い水準(140点台後半)
  • 第115回(2026年):111回並みに「高め」の年(160点台後半)

必修はどの年も 40点/50点 が基準で、採点除外などがない限り変わりません。一方、一般・状況設定は 148〜167点のあいだで大きく変動しており、年によって「合格までに必要な正答率」がかなり違うことが分かります。

第115回は、「第111回(167点)」に次ぐ高さで、「第114回の148点」と比べると 18点 も上昇しています。つまり、直近数年の中では「かなり高めのボーダーになった年」と評価できます。

15年間のボーダー推移で見える“3つの波”

ここからは、出題基準の改定や試験傾向の変化とからめて、約15年スパンでボーダーの流れを眺めてみます。大きく分けて「安定期」「変動期」「揺り戻し」の3つの波が見えてきます。

1)安定期:2010年代前半〜中盤(第100回前後)

公開データを見ると、2010年代前半〜中盤にかけては、一般・状況設定のボーダーが「150点前後〜160点弱」に収まる年が多く、合格率も 88〜90%台で推移していました。この時期は、出題形式の大きな変更が少なく、典型問題が多い「安定した国試」のイメージがあります。

特徴としては、出題範囲が今ほど広くなく、疫学・統計・災害・感染対策などの新しいトピックが「ポイントで出る」程度だったことが挙げられます。基本事項の定着度がそのまま点数に反映されやすい時代だったといえます。

2)変動期:直近10年(第106〜115回)の「乱高下」

一方で、ここ10年(第106〜第115回)を見ると、ボーダーは 140点台後半〜160点台前半の範囲を上下動しており、「年によってボーダーが読みづらい」時代に入っています。

  • 第106回:142点と低めのスタート
  • 第110〜111回:159点・167点と一気に高水準へ
  • 第114回:148点と大きく低下
  • 第115回:166点と再び急上昇

この“乱高下”の背景には、出題基準の改定、新分野・新概念の追加、臨床に近い状況設定問題の比重アップ、感染症や災害看護など時事的テーマの反映など、複数の要因が絡んでいます。特に第111回は「合格基準が高めに設定された年」として、第114回は「問題の難しさを反映してボーダーが大きく下がった年」として受験生の印象に残っています。

3)第115回の“意味”:出題基準改定後の「揺り戻し」

第115回(2026年)は、新しい出題基準に対応した最初の本格的な国試のひとつとして位置づけられ、出題範囲の整理・統合が行われました。その結果、「問われ方は新しくなったが、得点分布としては高得点者が多く、ボーダーも高くなった年」と整理できます。

受験生の自己採点データからは、「合格ラインは160点台半ば」の予想が多く、実際の合格基準 166点はその範囲におさまりました。難問で差をつけるというより、「基本をしっかり押さえた受験生を確実に拾う」方向に調整された結果と見ることもできます。

15年分の“ボーダー戦略”をどう学習に落とし込むか

最後に、これまでの15年分の推移から、「これから受験する側」が活用できる具体的な戦略を整理します。ボーダーの上下を気にしすぎるより、「どんな年でも揺れにくい点数帯を自分で作る」ことが重要です。

1)「160点」を軸にした目標設定

過去データを平均すると、一般・状況設定のボーダーは「おおむね 155〜160点前後」で推移しており、近年は 160点を少し超える年も目立ちます。そのため、学習目標としては「本番で 250点中 170点を安定して取れる実力」をめざすのが現実的です。

  • ボーダーが高めの年(第111回・第115回)でも、余裕をもって合格ラインを超えられる
  • ボーダーが低い年(第114回など)なら、安全圏からの合格が見込める

こうした「どんな年でも揺れにくいライン」を自分の中に作ることで、試験直前にボーダー情報に振り回されにくくなります。

2)必修 8割ラインを「落とさない仕組み」を作る

15年間でほぼ変わっていないのが、「必修は原則 8割(40点)」というルールです。ここを落としてしまうと、一般・状況設定でどれだけ点数を稼いでも不合格になってしまうため、「必修を毎週触る」学習の仕組みを組み込むことが重要です。

  • 必修頻出分野(倫理・法規・社会保障・統計・成人・小児・母性など)を、月ごとにローテーションして学習する
  • 最新の統計数値や社会保障制度の変更は、国試直前期にまとめてアップデートする
  • 直近3〜5回分の必修だけをまとめて解き、「自分の苦手パターン(数字問題・用語の定義など)」を見える化する

ボーダーを意識するほど一般・状況設定に意識が向きがちですが、「必修での失点を最小限に抑えること」が最優先です。その上で、一般・状況設定を「範囲を区切って深く」進めていくと、全体の得点力が安定しやすくなります。

3)「難問」で悩むより「頻出で落とさない」発想に切り替える

15年間のボーダー推移を眺めると、極端に高い年(第111回・第115回)であっても、合格率は 88〜90%前後で大きくは変わっていません。これは、「難問・奇問はみんなが落とすので、大きな差はつきにくい」一方で、「基本レベルの問題を落とした分がダイレクトに合否に響く」ということを意味します。

  • 絶対に取りたい基本問題:各科の典型パターンを9割以上正答
  • できれば取りたい標準問題:6〜7割正答を目安
  • 難問・奇問:取れたらラッキーと割り切る

この3段階に問題を分け、「どのゾーンで何点取るか」を決めて学習することで、ボーダーが高い年でも低い年でも安定して合格ラインを超えやすくなります。ボーダー情報は不安の種ではなく、「自分の学習計画を微調整するための材料」として活用していきましょう。

ここまで読んでみて、「ボーダーを意識した勉強」で一番知りたいのは「科目ごとの目標配点」か「1日の勉強時間の組み立て方」のどちらでしょうか。

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