過去18年の看護師国家試験データから見えた傾向|第116回の合格基準予測
過去18年の看護師国家試験データから見えた傾向|第116回の合格基準予測
導入:まずは「合格ラインの輪郭」をつかむ
「勉強はしているけれど、結局何点ぐらい取れれば合格なの?」
国試の時期が近づくほど、この疑問が頭の片隅から離れなくなりますよね。
看護師国家試験は、センター試験や共通テストのように「事前に合格点が決まっている試験」ではありません。毎年の受験状況や問題の難易度をふまえて、試験が終わったあとに合格基準が決まる仕組みです。
そのせいもあって、
- 「今年は難しかったから、合格ラインも下がるのかな?」
- 「去年と同じくらいの点数で大丈夫なんだろうか…」
と、ネットの噂や予備校の予想に振り回されてしまいがちです。
とはいえ、完全に真っ白な状態で「とりあえず頑張れ!」と言われても、勉強の指針が立てづらいもの。そこでこの記事では、過去18年分のデータ(合格率・合格基準の推移)をざっくり振り返りながら、
- 毎年どのくらいのラインで合否が分かれてきたのか
- 「難しい年」「やさしい年」にどう動いてきたのか
- そのうえで、第116回はどのあたりを目標にしておくと安心か
といったところを、できるだけ分かりやすく整理していきます。
ゴールは、「○点ぴったり」ではなく、「このくらいを取れていれば、かなり安全圏だよね」という“感覚の目安”を持てるようになることです。きっちり数字を追いすぎて不安になるよりも、データを味方につけて、落ち着いて学習計画を組んでいきましょう。
看護師国家試験の合格基準の基本ルール
具体的な数字に入る前に、「そもそも看護師国家試験の合格基準ってどう決まるの?」という基本からさっとおさえておきます。
2つのラインがある
看護師国家試験では、大きく分けて2つの合格基準があります。
- 必修問題のボーダー
- 一般問題+状況設定問題のボーダー
簡単にいうと、
- 必修で「一定以上の正答率」があること
- 全体としても「ある程度の点数」に届いていること
この2つをどちらも満たした受験生が合格、というイメージです。
必修問題の合格基準
必修問題は、「看護師として最低限おさえておいてほしい基礎」を確認するための問題です。この部分は例年、「○%以上正答すること」という形で基準が決まっています。
ここ十数年は、おおむね「正答率80%前後」がラインの目安になってきました。つまり、必修で極端に落としてしまうと、一般・状況設定で高得点を取っていても不合格になってしまう、ということです。
一般問題+状況設定問題の合格基準
一方、一般問題と状況設定問題は足し合わせて採点されます。こちらは「何点以上」という形で毎年合格基準点が設定され、試験後に公表されます。
この点数は、受験者全体の出来具合や問題の難易度を見て決まるため、
- 難しい年:合格基準点はやや低め
- やさしめの年:合格基準点はやや高め
という動きをしてきました。
ですから、合格基準は「絶対的に決まった数字」ではなく、「その年の試験全体の中でのライン」として毎年調整されている、とイメージしておくと分かりやすいと思います。
過去18年の合格基準・合格率の流れ(ざっくりイメージ)
細かい数字をすべて暗記する必要はありませんが、「ここ10数年、全体としてどのくらいの合格率・合格点で推移してきたか」をざっくりつかんでおくのは、とても役に立ちます。
合格率は「だいたい8〜9割前後」で安定
まず、合格率から見てみましょう。
過去18年ほどを振り返ると、看護師国家試験の合格率は、新卒・全体ともに「だいたい80%台〜90%弱」の範囲で推移してきています。年度によって多少の上下はありつつも、「半分しか受からない」といった極端な年はありません。
このことから分かるのは、看護師国家試験は「落とすための試験」というよりは、「きちんと準備をしてきた人には、しっかり通ってもらう試験」という設計になっている、ということです。
もちろん、「だから簡単」というわけではありません。ただ、「とんでもない狭き門」というイメージで構えすぎる必要はなく、「合格ラインの少し上を目指して取りにいく」試験だと捉えたほうが、勉強の方針は立てやすくなります。
合格基準点は「毎年少しずつ上下」
次に、一般+状況設定の合格基準点の流れです。
ここ18年くらいを俯瞰すると、
- 「やや難しめ」と言われた年:合格基準点はやや低め
- 「標準〜やさしめ」と言われた年:合格基準点はやや高め
というように、数点〜10点前後の幅で上下しながら推移しています。
重要なのは、「合格基準点だけ」を単独で見るのではなく、「その年の問題の難易度」とセットで見ることです。例えば、周りの受験生も軒並み「難しかった」と感じている年は、合格基準点も下がる傾向がありますし、逆に「全体的に解きやすかったよね」という年は、合格基準点が高めに設定されることがあります。
つまり、「去年は○○点だったから、今年も同じくらいだろう」と単純に当てはめるのは危険で、あくまで「目安のゾーン」として捉えるのが現実的です。
「難しい年」と「やさしい年」は何が違ったのか?
ここで少し視点を変えて、「難しい年」「やさしい年」と言われるとき、どんな特徴があったのかも見ておきましょう。
難しい年のよくあるパターン
- 状況設定問題の文章量が多く、時間との戦いになった
- 新しい制度・ガイドライン・社会背景(感染症や災害など)に絡む問題が多く、対応しづらかった
- 例年に比べて、「これ習ってない…」と感じるようなテーマが目立った
こうした年は、自己採点で「かなりやらかしたかも」と感じる受験生が多くなりますが、その分、合格基準点も調整されるケースがよく見られます。
やさしい年のよくあるパターン
- 過去問で見たことのあるテーマや形式が多く、「見慣れた問題」が多かった
- 必修問題で極端にひねった出題が少なく、落としにくかった
- 状況設定も、比較的読みやすいケースが多かった
こうした年は、「点数自体は高く出たけれど、合格基準点も高めになった」という受験生の声が聞かれます。
ここから分かる大事なポイントは、
「試験が難しいかどうか」と「自分が受かるかどうか」は、必ずしも比例しない
ということです。
難しい年は合格基準点も下がるので、周りが苦戦している中でも「基本をしっかり取れている人」はきちんと拾われます。逆に、やさしめの年は「ちょっとミスしただけ」で合否が分かれやすくなるため、「頻出の基礎」を確実に取る力がものを言います。
直近(第115回)の結果から見えること
第116回を考えるときに、いちばん参考になるのは「直近の第115回」の結果と、受験生の感触です。
- 問題の難易度(必修・一般・状況設定それぞれの印象)
- 合格率がどのくらいで落ち着いたか
- 合格基準点が、直近数年と比べてどう動いたか
ここを押さえておくことで、「最近の国試がどんな方向性を大事にしているか」が少し見えてきます。
最近の傾向としては、
- 「単なる暗記」より、「状況の理解」「優先度の判断」「倫理・多職種連携」を問う問題が増えている
- 感染症・災害・地域包括ケアなど、社会背景と結びつく出題が多い
- 必修に関しては、従来通り“落としてはいけない基礎”が中心だが、たまに「え、ここ聞く?」という切り口も混じる
といった声が多く聞かれる印象です。
第116回も、「この大きな流れ自体がガラッと変わる」ことは考えにくいので、
- 看護過程やフィジカルアセスメントなどの“土台”
- 成人・老年・母性・小児・公衆衛生の中での「頻出ど真ん中」
- 状況設定問題で問われやすい、優先度判断・倫理・多職種連携
このあたりをバランス良く押さえることが、結果として「合格基準を超える力」につながりやすいと考えられます。
第116回の合格基準はどう考える?(予測のしかた)
ここが一番気になるところだと思いますが、まず大前提として、
- 合格基準点は、試験が終わってから決まる
- 外部から「何点」と断言することは誰にもできない
という仕組みになっていることは意識しておきましょう。
そのうえで、「過去18年の流れ+直近の傾向」から考えると、
- 必修:例年どおり「80%前後」を基準にしておく(できれば9割近く取るつもりで対策)
- 一般+状況設定:
「過去数年の合格基準点ゾーン」を下回らないようにしつつ、そこからプラス10点前後を目標にしておく
という考え方が現実的です。
イメージとしては、
「合格ラインのちょっと上」を明確な目標にし、難しい年なら少し基準が下がってもラッキー、やさしい年でもギリギリに怯えずに済むラインを目指す。
という感じです。
数字そのものに縛られすぎるのではなく、
- 「必修は8割ちょっとでは不安。できれば9割前後を安定させる」
- 「一般+状況設定は、“頻出分野”と“自分の得意分野”でしっかり稼ぐ」
という戦略に落とし込んでいくことが大切です。
この予測を、勉強計画にどう落とし込むか
「合格基準のイメージ」はつかめてきたとして、問題はここからです。実際の勉強にどうつなげていくかを考えてみましょう。
1. まずは「現在地」をざっくり把握する
いきなり「○○点を目指すぞ!」と気合を入れる前に、模試や過去問演習で、
- 必修の正答率
- 一般+状況設定の合計点(または正答率)
の大まかな現在地を確認してみてください。
ここで大事なのは、「リアルな数字」を一度直視することです。思ったより取れていたなら自信につながりますし、「まだ遠いな」と感じたとしても、何を優先して伸ばすべきかが見えやすくなります。
2. 必修は「取りこぼしを減らす」意識で
必修は、1問1問の配点が重く、取りこぼしがそのまま合否に直結します。
- あいまいなままにしている基礎事項
- 毎回迷うけれど、なんとなくで選んでいる分野
があれば、優先的に潰していきましょう。
勉強の仕方としては、
- 苦手テーマ別に必修問題をまとめて解き直す
- 「なぜその選択肢が正しいのか」「なぜ他が違うのか」を説明できるか確認する
といった形で、「なんとなく正解」から「理由を持って正解」へ変えていくのがポイントです。
3. 一般+状況設定は「頻出×自分の強み」で底上げ
一般+状況設定は範囲が広い分、「全部を同じ濃さでやろう」とすると時間が足りません。
- 頻出分野(基礎・成人・老年・母性小児・公衆衛生)の中で、自分の得意・苦手をリストアップ
- 特に「頻出なのに自分は苦手」なところを、重点的に底上げ
- 一方で、「得意かつ頻出」の分野は、確実に点を稼ぐ柱にする
というように、「頻出 × 自分の強み・弱み」のマトリクスで考えるのがおすすめです。
よくある不安Q&A|合格基準まわりのお悩み編
Q1. 模試で合格基準に届いていません。このまま本番を迎えて大丈夫?
A. 「今の時点で届いていない=本番も落ちる」という意味ではありません。模試はあくまで“現時点でのスナップショット”で、ここからの伸びしろを見つけるための材料です。
大事なのは点数そのものよりも、
- 必修:どの分野で落としているか(基礎・成人・母性小児・公衆衛生など)
- 一般+状況設定:頻出分野の中で“穴”になっているところがどこか
を具体的に特定することです。
模試を見直すときは、
- 合格基準と自分の点数の差をざっくり把握する(例:あと20点ほしい)
- 間違えた問題を、「知識不足」「ケアレスミス」「問題の読み違い」に分類する
- 「知識不足」の問題のうち、頻出分野に関わるものを優先的に復習する
という流れで、「次の模試までにどこを埋めるか」を決めていきましょう。
Q2. 自己採点が「ボーダー付近」だったら、どう受け止めればいい?
A. 本番の自己採点が、世間で言われているボーダーに近いラインになると、どうしても落ち着かないですよね。
そのときに意識してほしいポイントは2つです。
- 合格基準点は、正式発表まで確定しない
→ 自己採点時点では、「予備校ごとの予想」や「ネットの噂」が飛び交いますが、あくまで“予想”にすぎません。 - 「必修を確実にクリアしているか」「大きなマークミスがなさそうか」を冷静に確認する
→ ケアレスミスや記入ミスが心配なときは、答え合わせの手順やマークの仕方を振り返り、今後の試験(もし来年に持ち越しになった場合)に活かす意識を持つのも大切です。
合否を待つ期間は不安ですが、「やるべきことはやった」「基礎はしっかり積み上げた」と言える状態まで頑張っていたなら、自分を責めすぎないでくださいね。
Q3. 「難しい年」に当たったらどうしよう…と考えてしまいます
A. これは、多くの受験生が一度は頭をよぎる不安だと思います。
ただ、看護師国家試験は「難易度を含めてトータルで調整される試験」です。問題が難しければ、その分、合格基準点もある程度下がるように設計されています。
むしろ、「難しい年」に強いのは、
- 基礎的な部分をしっかり固めている人
- 必修レベルの知識を状況設定で応用できる人
です。逆に、表面的な“細かい知識”にばかり時間をかけていると、問題の切り口が少し変わっただけで対応できなくなってしまいます。
難しい年でも、結局モノを言うのは“基礎を押さえているかどうか”と割り切って、「土台固め」に時間を投資しておくのが、いちばんの“難易度対策”だと考えてみてください。
Q4. SNSやネットの「予想ボーダー」をどのくらい気にすべき?
A. 情報収集として参考にするのは構いませんが、「一喜一憂しすぎない」が大事です。
- 予備校や講座によって、予想の仕方や前提としているデータが違う
- 早い段階の予想は、限られた情報だけから出されていることも多い
といった事情があるため、“1つの目安”くらいの距離感で見ておくのが無難です。
それよりも、普段の学習では、
- 自分の模試や過去問演習の結果
- 苦手領域の変化(少しずつ減っているかどうか)
といった、「自分の手元にあるデータ」を軸に判断するほうが、精神的にも安定しやすくなります。
Q5. 合格基準を意識しすぎて、勉強が息苦しく感じてしまいます…
A. すごくよく分かります。「あと何点足りない」「ここを落としたら不合格かも」と考え始めると、勉強するたびに心が重くなってしまいますよね。
そんなときは、一度「点数」から少し離れて、
- 今日はこの単元の“穴”をひとつ埋める
- この1時間は、心不全だけに集中する
- 今日は必修10問+状況設定1セットだけ、ていねいに解く
といった「行動ベースの目標」に切り替えてみてください。
合格基準はあくまで“ゴールの目安”であって、日々の勉強を支配するためのものではありません。「目の前の1ページ」「目の前の1問」に集中している時間を少しずつ積み重ねていけば、気づいたときには合格ラインに近づいているはずです。
合格基準を意識した学習チェックリスト
最後に、「第116回を目指すうえで、合格基準ラインを意識したときにチェックしておきたいポイント」をリストにしておきます。印刷してマークしたり、ノートに書き写して使ってもOKです。
1. 必修対策チェック
2. 一般+状況設定の“頻出×自分の現在地”
3. 模試・過去問の使い方
4. 学習計画とメンタル
5. 本番直前〜当日のイメージ
合格基準は“怖い数字”ではなく、勉強の優先順位を決めるための“味方”にもできます。数字に振り回されすぎず、でも現実から目をそらしすぎず、データを上手に使いながら、第116回で自分の力を出し切る準備をしていきましょう。

