第116回看護師国家試験 頻出カテゴリーベスト5|過去10年のデータから分析
第116回看護師国家試験 頻出カテゴリーベスト5|過去10年のデータから分析
導入
看護師国家試験の範囲は、領域もテーマもとにかく膨大ですよね。すでに何周か過去問を回している人ほど、「どこまで深堀りすべきか」「どこで見切りをつけるか」の線引きが難しくなってくると思います。
ただ、第116回だけを点で見るのではなく、過去10年程度の出題傾向を俯瞰すると、毎年かなり高い出題頻度を維持している「コア領域」が見えてきます。必修問題でも一般問題でも、そして状況設定問題でも、形や聞き方を変えながら何度も登場している分野です。言い換えると、ここを押さえずに「周辺の枝葉」ばかり勉強しても、得点効率はあまり良くなりません。
この記事では、過去10年分の傾向を土台に、
- 頻出度
- 他領域への波及性(横断的に問われるか)
- 社会的・制度的な背景(高齢化、地域包括ケア、感染症対策など)
といった観点から、「第116回で優先度が高いと考えられる頻出カテゴリーベスト5」を整理します。単なる「出題数ランキング」ではなく、「なぜ出題者がそのカテゴリを重視するのか」「どの概念・キーワードがボトルネックになりやすいのか」に踏み込んでいくイメージです。
すでに基礎知識は一通り学習し終え、「あとは得点源をどれだけ安定させるか」というフェーズの方にとって、
- どこを“取り切る”つもりで仕上げるか
- 逆に、どこは“最低限で割り切る”のか
を判断する材料として使っていただければと思います。
過去10年の看護師国家試験で「何がよく出ているのか?」
試験構造と“落とせないライン”の整理
まず、看護師国家試験のマクロな構造を再確認しておきます。
- 必修問題
看護師としての「最低限のコンピテンシー」を問う領域です。バイタルサイン、フィジカルアセスメントの基本、感染防止対策(標準予防策・感染経路別予防策)、倫理原則、安全確保などが中心です。 - 一般問題
疾患別看護、病態生理、薬理、検査、看護技術などを中心に、知識と理解が問われます。「正常→異常」への変化や、病態生理に基づく理由づけができるかが差になりやすい領域です。 - 状況設定問題
ケースの時系列(アセスメント→診断→計画→実施→評価)を追いながら、優先度の判断や看護介入の妥当性を問う問題です。看護過程、臨床判断能力、倫理的ジレンマ、多職種連携の理解などが統合的に問われます。
過去10年を俯瞰すると、「必修での落とせない定番」「一般・状況設定で差がつきやすい分野」はかなり一貫しています。特に、
- 基礎看護・看護過程・安全管理
- 成人看護(循環器・呼吸器を中心とした内科・救急領域)
- 老年看護(フレイル・複合的健康問題・認知症)
- 母性・小児(正常発達・正常妊娠経過を基盤とした異常の早期発見)
- 公衆衛生・地域包括ケア・在宅看護
は、出題形式が変化しても「毎年どこかで必ず顔を出す」コア領域になっています。
「過去10年」を分析軸にする理由
分析のスパンとして「過去10年」を意識するのは、出題基準や社会背景の変化を織り込みつつ、直近のトレンドも拾える“ほどよい幅”だからです。
- あまりに古い年度までさかのぼると、医療制度や診療ガイドライン、公衆衛生上のテーマが現在と乖離してしまう
- 逆に直近1〜2年だけを見ると、その年度特有の一過性のトピックに過剰適応してしまうリスクがある
そのため、「10年程度の連続したデータ」をベースに、
- 分野別の出題数・出題率
- 類似テーマの反復(同じ概念が問われ方を変えて出題されているか)
- 社会的トピック(高齢化、地域包括ケアシステム、感染症、災害対策など)との連動
をざっくり押さえることで、「量」だけでなく「質」と「背景」を含めた優先度を見極めやすくなります。
第1位:基礎看護・看護過程 — 看護実践の“認知フレーム”を問う領域
頻出理由:全領域に共通する思考プロセス
基礎看護・看護過程は、すべての領域を貫く「認知フレーム(ものの見方・考え方)」そのものです。
- 看護過程(アセスメント→看護診断→計画→実施→評価)
- フィジカルアセスメント(視診・触診・聴診・打診の基本と、バイタルサインの解釈)
- 安全管理(転倒・転落リスクアセスメント、インシデント・アクシデント、リスクマネジメント)
- 疼痛アセスメント、意識レベル評価(JCS・GCS)、スケール(Bradenスケールなど)
といった内容は、成人・老年・母性・小児・在宅など、どの領域の状況設定問題でも前提として使われています。
押さえておきたいキーワード・概念
- 看護過程
主観的情報・客観的情報、クリティカルシンキング、優先度の決定(ABC、Maslow、緊急度・重症度)など。 - 感染予防
標準予防策、経路別予防(接触・飛沫・空気)、個人防護具の選択と着脱手順など。 - 安全管理
フォールリスクアセスメント、インシデントレポート、ヒヤリ・ハット、フィードバック・ラーニングなど。 - 基本的ニーズと日常生活援助
ADL・IADL、セルフケア能力、セルフケア不足、自己効力感など。
学習ポイント(上級者向け)
- 単語の暗記に終わらせず、「症例ベース」で看護過程を追う。
- 状況設定問題で、「今どの段階を問われているか(アセスメントか、介入の妥当性か、評価か)」を意識して読む練習をする。
- バイタル変化・スケールの数値を、「単なる数字」ではなく「病態の変化を示す指標」として解釈する。
基礎看護・看護過程に沿った具体例
例1:看護過程(アセスメント〜評価)
【問題イメージ】
脳梗塞で入院中のAさん(75歳)。右片麻痺があり、ベッド上で生活している。入院3日目、仙骨部の発赤を看護師が認めた。
このときの看護師の対応として、最も優先度が高いのはどれか。
- 家族に褥瘡予防について説明する
- 栄養状態を評価する
- 体位変換の頻度を増やす
- 褥瘡対策チームに相談する
【ポイント解説】
・すでに発赤という「褥瘡リスクが顕在化した状態」であり、一次予防から二次予防に近いフェーズです。
・「今すぐできるリスク低減」が最優先なので、まずは体位変換・圧抜きなど直接的な介入が優先されます。
・栄養評価やチーム連携も重要ですが、この場面では“即時性”を考えると後順位になりやすいです。
→ 実際の問題でも、看護過程のどの段階(アセスメント/診断/計画/実施/評価)かを意識すると、選択肢の優先度が整理しやすくなります。
例2:標準予防策 vs 経路別予防策
【問題イメージ】
Bさんはインフルエンザと診断され入院した。看護師が最初に徹底すべき感染予防策として、最も適切なのはどれか。
- 空気予防策と陰圧室での管理
- 標準予防策と飛沫予防策
- 経口感染予防策のみ
- 接触予防策のみ
【ポイント解説】
・インフルエンザは主に飛沫感染です。
・「すべての患者に対して行う標準予防策+飛沫予防策」が基本です。
・結核など空気感染疾患と取り違えないようにしましょう。
→ こうした「疾患名+感染経路+組み合わせ」パターンは、必修でも一般でも定番です。
第2位:成人看護(循環器・呼吸器)— 急性期・慢性期を通じて問われる“王道領域”
コアとなる病態生理と看護
成人看護の中でも、循環器・呼吸器は出題頻度・重症度ともに高く、必ず得点源にしたい領域です。
- 循環器
急性冠症候群(ACS:不安定狭心症・心筋梗塞)、心不全、心原性ショック、不整脈など。主要薬剤(ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、利尿薬、抗血小板薬、抗凝固薬)と看護もセットで押さえます。 - 呼吸器
COPD、肺炎、気管支喘息、急性呼吸不全、ARDSなど。酸素療法(低流量・高流量、FiO2、SpO2の目標値)、人工呼吸器管理の基本概念(PEEP、補助換気など)も頻出です。
学習ポイント(上級者向け)
- 「循環動態」「呼吸動態」の変化を、図やフローチャートで整理し、検査値やバイタルとの関連で理解する。
- 状況設定で、「急変兆候の早期認識」「ドクターコールのタイミング」「優先順位の判断」を意識して選択肢を吟味する。
- 疾患別に「病態 → 主症状 → 検査 → 標準的治療 → 看護」の1セット思考を徹底する。
成人看護(循環器・呼吸器)の具体例
例3:心不全の急性増悪
【問題イメージ】
慢性心不全で通院中のCさん(68歳)。ここ数日で「階段を上るとすぐ息切れする」「体重が2kg増えた」と訴えて外来を受診した。
看護師のアセスメントとして、優先度が高い項目はどれか。
- 頭痛の有無
- 下腿の浮腫の程度
- 食欲の有無
- 睡眠時間
【ポイント解説】
・心不全増悪の典型的サインは、体重増加、呼吸困難、浮腫です。
・特に「下腿浮腫」「頸静脈怒張」「胸部ラ音」などは、循環動態を評価するうえで重要です。
・生活状況も大事ですが、この場面では循環状態の把握が最優先になります。
→ 問題文に「体重増加」「息切れ」「浮腫」が出てきたら、心不全の増悪を連想し、観察・看護介入まで一気に結びつける練習をしておきましょう。
例4:COPD患者の酸素療法
【問題イメージ】
COPDで在宅酸素療法を行っているDさん。SpO2が88%となり、医師の指示で酸素流量を一時的に増量することになった。
看護師の説明として適切なのはどれか。
- 「息苦しくなくなるまで、流量を自由に増やしてよいです」
- 「決められた流量の範囲内で調整しましょう」
- 「苦しくても、流量は一切変えないでください」
- 「短時間なら、流量を3倍まで上げても大丈夫です」
【ポイント解説】
・COPD患者では、高濃度酸素で呼吸抑制が起こるリスクがあります。
・「医師の指示範囲内での調整」が原則です。
・「自由に増減」「極端な増量」は誤りです。
→ 在宅療養では、「自己判断の範囲」と「相談すべきライン」を具体的に指導する視点が問われやすいです。
第3位:老年看護・高齢者ケア — フレイル・多疾患併存・認知症を軸に
キーワード・概念
- フレイル・サルコペニア
- 認知症(中核症状・周辺症状/BPSD)、パーソン・センタード・ケア
- 多疾患併存、ポリファーマシー、薬物有害事象
- 転倒・転落リスク評価、褥瘡リスク評価(Bradenスケールなど)
学習ポイント(上級者向け)
- 「高齢+〇〇(疾患)」のケースで、加齢変化を前提にアセスメントする感覚を養う。
- 認知症ケアでは、「不適切な対応の選択肢」が混ざりやすいので、倫理的・心理社会的視点から吟味する。
- 実習経験を“言語化”しておき、国試のケースと結びつけて読む。
老年看護・高齢者ケアの具体例
例5:転倒リスクと環境調整
【問題イメージ】
Eさん(82歳)は、軽度の認知症と変形性膝関節症があり、歩行時にふらつきが見られる。最近、夜間にトイレまでの廊下でつまずきそうになったと訴えた。
転倒予防の看護として、最も優先度が高いものはどれか。
- 日中の歩行距離を減らすよう指導する
- 廊下の照明を夜間も点灯し、手すりを活用して歩くよう促す
- 就寝前に経口摂取を控えるよう指導する
- ベッドを低床にして、サイドレールを常時上げる
【ポイント解説】
・高齢+認知症+膝関節症+夜間という、典型的な転倒リスク状況です。
・「環境整備(照明・手すり)」と「安全な動線の確保」が優先されます。
・サイドレールの常時使用は、むしろ転落リスクや身体拘束につながる可能性があるので注意が必要です。
→ 老年看護の問題は、「リスク評価+環境調整+尊厳・自立」のバランスをどう取るか、という出し方が多いです。
第4位:母性・小児看護 — 正常を軸に“逸脱”を見抜く
キーワード・概念
- 母性
妊娠各期の生理的変化、胎児発育、分娩進行(分娩第1〜3期)、産褥期の観察など。妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離などの異常妊娠・分娩も頻出です。 - 小児
発達段階(乳児・幼児・学童・思春期)と特徴。先天性心疾患、川崎病、急性呼吸器感染症など小児特有の疾患。予防接種スケジュールの基本構造も押さえておきたいところです。
学習ポイント(上級者向け)
- 「正常経過」を軸に、どこからが“異常”と判断されるのか閾値を意識する。
- 小児は、発達段階に応じた説明・遊び・家族支援が選択肢に紛れやすいので、「年齢設定」に敏感になる。
- 予防接種は、「種類+生ワクチン/不活化」「目的(何を防ぐか)」のセットで理解する。
母性・小児の具体例
例6:産褥期の異常徴候
【問題イメージ】
経膣分娩後2日目のFさん。体温37.9℃、子宮底は臍高で圧痛あり、悪露は悪臭を伴っている。
看護師がまず疑うべき状態はどれか。
- 正常な産褥経過
- 乳腺炎
- 子宮内感染(子宮内膜炎)
- 膀胱炎
【ポイント解説】
・産褥期における「発熱+子宮圧痛+悪臭を伴う悪露」は、子宮内感染を疑うサインです。
・正常経過では、子宮底は徐々に下降し、悪露の量・性状も変化していきます。
→ 「正常の範囲」と「逸脱」を見分ける典型問題です。
例7:小児の発達段階と説明
【問題イメージ】
3歳児に採血を行うことになった。看護師の説明として最も適切なのはどれか。
- 「今から血液検査をするので、静脈から採血します」
- 「ちょっと痛いけれど、病気を早く治すために必要な検査だよ」
- 「すぐ終わるから、泣かないでがんばろうね」
- 「痛くないから、心配しなくていいよ」
【ポイント解説】
・3歳前後は、「簡単な因果関係」が少し理解できる時期です。
・「痛みがあること」を正直に伝えつつ、「目的」や「時間」「終わりがあること」を具体的に伝えるのがポイントです。
・「痛くない」と虚偽を言うのは不適切で、「泣かないで」は感情の否定になりやすいです。
→ 発達段階に応じた説明・声かけを意識した選択肢を選ぶ練習に向いています。
第5位:公衆衛生・地域包括ケア・在宅 — 制度・仕組みを“生活の文脈”で理解する
キーワード・概念
- 地域包括ケアシステム(住まい・医療・介護・予防・生活支援)
- 保健医療福祉連携、多職種連携、ケアマネジメント
- 在宅療養支援診療所・訪問看護ステーションの役割
- 健康増進、一次予防〜三次予防、ハイリスクアプローチ・ポピュレーションアプローチ
学習ポイント(上級者向け)
- 制度名だけでなく、「どのような生活状況の人を、どう支えるための仕組みか」を具体的ケースと結びつけてイメージする。
- 災害時・感染症流行時の公衆衛生的対応を、地域・在宅看護の視点で読む。
- 状況設定で「在宅への移行」「退院調整」が出たとき、関連職種やサービスの選択肢を整理しておく。
公衆衛生・地域包括ケア・在宅の具体例
例8:地域包括ケアシステム
【問題イメージ】
地域包括ケアシステムの説明として、最も適切なのはどれか。
- 高齢者を病院で集中的に治療するための仕組み
- 高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」が一体的に提供される仕組み
- 在宅療養のみを支援する保険制度
- 介護施設への入所を促進するための施策
【ポイント解説】
・キーワードは「住み慣れた地域で、その人らしい暮らしの継続」「住まい・医療・介護・予防・生活支援」です。
・「病院中心」でも「在宅限定」でもなく、“地域全体”で支える考え方です。
例9:在宅療養と家族支援
【問題イメージ】
在宅療養中のGさん(79歳)は、慢性心不全と認知症がある。主介護者である配偶者が、「夜間も不安で眠れない」と看護師に訴えた。
看護師の対応として、最も適切なのはどれか。
- 「ご家族なんですから、もう少し頑張りましょう」と励ます
- 配偶者の睡眠状況やサポート体制についてアセスメントし、レスパイトケアの利用も含めて検討する
- 夜間の不安を軽減するため、睡眠薬の処方を医師に依頼する
- 配偶者にセルフケア能力の向上を指導する
【ポイント解説】
・在宅看護では、「患者+家族」を一単位としたアセスメントと支援が必要です。
・介護者のバーンアウト予防として、レスパイトケア(ショートステイなど)の活用も重要な視点です。
・「励ますだけ」「薬だけに頼る」選択肢は不適切です。
→ 家族支援・多職種連携・地域資源活用を意識した問題が増えている領域です。
よくある疑問Q&A(上級者向け)
Q1:頻出分野でも、どこまで細かく覚えるべきですか?
A:目安として、「状況設定で出てきても、選択肢レベルで迷わないライン」までは押さえたいです。ただし、ガイドラインの数値やマイナーな副作用など、出題頻度の低い細部に時間をかけすぎるのは非効率です。
- 「病態生理」「優先度判断」「安全確保」に直結する知識
- 複数の疾患・領域にまたがって繰り返し問われる概念(例:ショック、呼吸不全、認知症ケア、地域包括ケア)
を“最優先”にし、「一度も見たことがない細かい数字」は、深追いしない割り切りも必要です。
Q2:状況設定問題で時間を取られてしまいます。効率よく解くコツは?
A:
- 先に「設問(問われていること)」を読む
- 次に「患者の現在の状態(バイタル・症状・経過)」を確認する
- 最後に、選択肢を「実践的・倫理的に妥当か」でふるいにかける
という順番を習慣づけると、情報の取捨選択がしやすくなります。また、「今この問題は、看護過程のどのステップを問うているのか?」(アセスメント・診断・計画・実施・評価)を意識するだけでも、選択肢の見え方がかなり変わります。
Q3:過去問は何周くらい回すべきですか?
A:周回数そのものよりも、「1周ごとにどれだけ解像度が上がっているか」が重要です。
- 1周目:とにかく全体像をつかむ(分からない問題も、解説を読んで「へぇ」で終わってOK)
- 2周目:頻出テーマと、自分の弱点(正答率が低い領域)を特定する
- 3周目以降:頻出×弱点領域を重点的に反復し、「パターン認識」と「理由づけ」を強化する
というイメージで、3周目からは“選択と集中”をかけていくのがおすすめです。
頻出カテゴリ 学習チェックリスト
最後に、「自分がどこまで仕上がっているか」をざっくり確認できるチェックリストです。印刷してマークしても、ノートに写して使ってもOKです。

