【状況設定問題】成人看護学・糖尿病の頻出パターン20と読み解きトレーニング

【状況設定問題】成人看護学・糖尿病の頻出パターン20と読み解きトレーニング

糖尿病の状況設定問題は、「知っているはずなのに選択肢で迷う」「低血糖か高血糖かは分かっても、何を優先するかでつまずく」と感じやすいテーマです。
特に国試直前の3〜4年生になると、知識はある程度入っているぶん、“どこを根拠に選ぶか”が曖昧なまま点数が伸び悩むことがあります。

そこでこの記事では、糖尿病の状況設定問題を20のミニケースで整理しました。
1つひとつのケースを通して、「この場面で問われやすいこと」「選択肢をどう切るか」「実習経験とどうつなげるか」を練習できる構成にしています。

インスリン自己注射、低血糖、高血糖、食事療法、合併症、フットケア、在宅支援まで、糖尿病で頻出の場面をひと通りカバーしているので、過去問の解き直し前の整理にも使ってみてください。

糖尿病の状況設定問題で共通して問われる力

糖尿病の状況設定問題は、血糖値だけを見て解く問題ではありません。
実際には、患者さんの年齢、生活リズム、治療内容、セルフケア能力、家族の支援状況などを合わせて読み取り、最も適切な対応や支援を選ぶ力が求められます。

  • 誰か:高齢者か、働き世代か、一人暮らしか、家族支援があるか
  • どんな治療か:食事療法、経口血糖降下薬、インスリン療法、在宅療養中か
  • 今どんな状態か:低血糖症状、高血糖症状、足病変、合併症、検査値の変化
  • どの場面か:外来、入院中、退院前、訪問看護、生活指導の場面など

文章が長くても、この4つに分けて読むだけでかなり整理しやすくなります。
糖尿病の問題で迷ったときは、「今この患者さんにとって最優先なのは安全か、継続支援か、それとも自己管理の再調整か」を意識してみましょう。

パターン1〜5:インスリン導入と自己注射指導

糖尿病の状況設定問題でまず押さえたいのが、インスリン導入と自己注射に関する場面です。
手技だけではなく、不安、生活リズム、継続可能性まで問われることが多いポイントです。

パターン1:インスリン導入に強い不安を示す患者

【ミニケース】

58歳男性。2型糖尿病で外来通院中。内服治療を続けていたが、血糖コントロール不良のためインスリン導入が提案された。
医師の説明後、患者は「注射は怖いし、そこまで悪くなったということですよね」と沈んだ表情で話している。
妻と2人暮らしで、日中は営業職として外回りが多い。

【国試風の問い】

看護師の最初の対応として最も適切なのはどれか。

  1. インスリン療法は一般的であると伝え、すぐに手技練習を始める
  2. 注射に慣れるしかないと説明し、不安を軽く受け流す
  3. 患者の不安の内容を確認し、生活の中で続けられる方法を一緒に考える
  4. 仕事を続けるのは難しいと説明し、休職を勧める

【考え方のポイント】

  • インスリン導入の場面では、患者は「病気が悪化した」「自分は失敗した」と受け止めることがある。
  • この時点で必要なのは、いきなり手技だけを教えることではなく、不安の中身を言語化する支援
  • 特に外回りの仕事があるため、「いつ・どこで・どう自己注射するか」という生活上の調整も重要になる。

このケースでは、患者が何に不安を感じているのかをまず確認し、そのうえで仕事との両立を見据えた導入支援につなげるのが自然です。
糖尿病の状況設定問題では、知識だけでなく、患者さんの受け止め方に寄り添っているかがよく見られます。

パターン2:自己注射の手技は理解したが継続に自信がない

【ミニケース】

66歳女性。2型糖尿病。入院中にインスリン自己注射の練習をしている。
手技は正確にできているが、「病院ではできても、家に帰ったら忘れそう」「外出先で打つのが不安」と話している。

【国試風の問い】

退院前の支援として最も適切なのはどれか。

  1. もう手技はできているため、指導を終了する
  2. 生活パターンに合わせて、自己注射のタイミングと準備方法を一緒に整理する
  3. 不安が強いので家族にすべて注射を任せるよう勧める
  4. 注射が難しければ内服薬へ戻すよう医師に依頼する

【考え方のポイント】

  • 「できる」と「続けられる」は別の力。
  • 糖尿病の自己管理支援では、退院後の生活動線に落とし込めているかが大切。
  • 選択肢で迷ったときは、患者が退院後に再現できる支援かを基準に考える。

国試では、手技の正誤だけでなく、継続支援まで見据えた選択肢が正解になりやすいです。
看護師は「教えた」で終わるのではなく、「患者さんが自分の生活の中で実行できるか」まで確認する役割を持っています。

パターン3:毎回同じ部位に注射している患者

【ミニケース】

71歳女性。インスリン自己注射を継続中。
外来で腹部の同じ場所ばかりに注射していることが分かり、「いつもの場所が一番やりやすいから」と話している。

【国試風の問い】

看護師の説明として最も適切なのはどれか。

  1. 注射部位は毎回同じでも効果は変わらない
  2. 同じ部位を避け、部位をずらして注射するよう説明する
  3. 腹部ではなく必ず上腕だけに注射するよう勧める
  4. 痛みが少ないなら変更の必要はないと伝える

【考え方のポイント】

  • インスリン療法では、注射部位を毎回同じにすると吸収が安定しにくくなることがある。
  • 実際の国試でも、インスリン療法の正しい理解として低血糖や注射手技が問われている。
  • 知識問題に見えても、状況設定では「患者がなぜその行動をしているか」まで読むと解きやすい。

このケースでは、「やりやすさ」を優先した結果、同じ場所に注射し続けている背景があります。
そのため、単に禁止するのではなく、患者さんが実際に続けやすい部位ローテーションの工夫まで伝える視点が大切です。

パターン4:高齢患者が「看護師が打って」と依頼する

【ミニケース】

78歳男性。妻と2人暮らし。認知症はない。
訪問看護導入時に、インスリン自己注射の説明をすると「針が怖いから、看護師さんが打ってください」と言う。

【国試風の問い】

この患者への対応として最も適切なのはどれか。

  1. 患者の希望通り、訪問時は毎回看護師が注射する
  2. 生涯継続する治療であることを踏まえ、自分でできるよう段階的に支援する
  3. 注射への恐怖があるためインスリン療法は中止する
  4. 家族がすべて管理するように妻へ依頼する

【考え方のポイント】

  • 自己注射が必要な患者に対しては、可能な範囲で自立を支える視点が重要。
  • 実際に、訪問看護と自己注射の関係を扱う国試の過去問でも、「自分でできるよう支援する」考え方が基礎になる。
  • 恐怖があるからこそ、できない前提ではなく、できる方法を一緒に探す。

高齢者のケースでは、つい「家族がやればよい」「看護師がやればよい」と考えたくなります。
ですが、まずは患者さん本人の力をどう活かすかを見るのが看護の基本です。

パターン5:食事時間が不規則で低血糖様症状がある

【ミニケース】

76歳女性。2型糖尿病で、1日1回の血糖測定と朝のインスリン自己注射を行っている。
長女と2人暮らしで、夕食の時間は長女の帰宅に合わせるため不規則になりやすい。
外来受診時に「時々、汗が出て手が震える」と相談した。

【国試風の問い】

この患者への説明として最も適切なのはどれか。

  1. 夕食をなるべく毎日同じ時間にとるよう生活リズムを整える
  2. 手の震えは加齢によるものなので様子を見る
  3. 体重が多いため夕食を抜くよう勧める
  4. インスリンは毎朝ではなく気分で調整するよう説明する

【考え方のポイント】

  • 冷汗や手指振戦は低血糖を疑うサインとして重要。
  • 糖尿病の事例では、食事時間の不規則さと低血糖症状を結びつけて考える力が問われやすい。
  • 症状の背景に生活パターンがあるときは、生活調整そのものが看護介入になる。

このケースでは、患者さんの生活背景まで含めて読むことがカギです。
糖尿病の状況設定問題は、「数値」だけでなく「生活時間のズレ」がヒントになることがよくあります。

パターン6〜10:低血糖・高血糖への対応

糖尿病の状況設定問題で特に差がつきやすいのが、低血糖と高血糖の場面です。
症状を知っているだけでは不十分で、今この場面で何を優先するかまで判断できることが大切です。

パターン6:病棟で冷汗と手指振戦がみられる

【ミニケース】

64歳男性。2型糖尿病で入院中。昼食前、患者が「何だかふらふらする」と訴え、冷汗と手指振戦がみられた。
受け答えは可能で、意識は清明である。

【国試風の問い】

看護師が優先して確認する内容として最も適切なのはどれか。

  1. 直前の食事摂取状況と血糖値
  2. 昨日の睡眠時間
  3. 便通の有無
  4. 入院前の運動習慣

【考え方のポイント】

  • 冷汗と振戦は低血糖の代表的な自律神経症状として押さえておきたい。
  • 国試では、低血糖症状として振戦などが問われている。
  • まずは低血糖の可能性を考え、今の安全確認に直結する情報を取る。

「まず何を見るか」を問う問題では、現在の症状に一番近い情報から取っていくのが基本です。
低血糖を疑う症状が出ているなら、血糖値や食事の状況を優先して確認する流れが自然です。

パターン7:意識がぼんやりして経口摂取が難しい

【ミニケース】

70歳女性。糖尿病で入院中。夕方、顔面蒼白で反応が鈍く、うとうとしている。
呼びかけには応じるが、飲み込みが不安定である。

【国試風の問い】

この場面で優先すべき対応として最も適切なのはどれか。

  1. まず水を飲ませて様子を見る
  2. 経口摂取の可否を慎重に判断し、必要時は速やかに報告する
  3. 歩かせて意識をはっきりさせる
  4. 就寝まで安静にするよう伝える

【考え方のポイント】

  • 低血糖対応では、経口摂取が安全にできるかどうかが重要な分かれ目になる。
  • 飲み込みが不安定な患者に無理に飲ませるのは危険。
  • 選択肢の優先度は、症状改善より先に安全確保で考えると整理しやすい。

状況設定問題では、知識があっても「今この患者さんに実施して安全か」を忘れると誤答しやすくなります。
低血糖対応の問題では、誤嚥リスクの有無まで目を向けられると強いです。

パターン8:シックデイで食事がとれないのに薬を続けている

【ミニケース】

52歳女性。2型糖尿病。発熱と嘔吐があり、2日ほど食事が十分にとれていない。
しかし「いつもの薬だから」と、普段どおり経口血糖降下薬を内服している。

【国試風の問い】

この患者への対応として最も優先されるのはどれか。

  1. 体重を毎日測るよう説明する
  2. シックデイ時の対応を確認し、早めの受診相談を勧める
  3. 発熱がある間は運動量を増やすよう勧める
  4. 食事がとれないので薬も自己判断で中止してよいと説明する

【考え方のポイント】

  • シックデイは、脱水や血糖変動が起こりやすい場面。
  • 「普段と違う体調のときに、どう自己管理を調整するか」は糖尿病で頻出の論点。
  • 患者の自己判断に丸投げするのではなく、判断基準と受診行動を支える選択肢を選ぶ。

この問題では、食事がとれないときほど自己管理の精度が重要になる点を押さえたいところです。
状況設定問題でシックデイが出てきたら、脱水、受診タイミング、自己判断の危うさをセットで考えましょう。

パターン9:口渇が強く、高血糖が疑われる

【ミニケース】

61歳男性。2型糖尿病。数日前から強い口渇と多尿があり、「水を飲んでもすぐ喉が渇く」と話している。
最近、仕事が忙しく、受診と内服が不規則になっていた。

【国試風の問い】

この患者から優先して確認する情報として最も適切なのはどれか。

  1. 最近の内服状況と食事内容
  2. 好きな食べ物
  3. 家の広さ
  4. 学生時代の運動歴

【考え方のポイント】

  • 口渇や多尿は高血糖を疑う典型的なサイン。
  • 症状と自己管理の乱れを結びつけて考えることが重要。
  • 選択肢の中で「今の症状の原因把握に最も近いもの」を選ぶ。

糖尿病の問題では、患者さんが生活の忙しさから治療行動を崩しているケースがよく出ます。
そのときは、責めるのではなく、何が崩れたのかを把握することがスタートになります。

パターン10:夜間低血糖を繰り返している患者

【ミニケース】

69歳男性。インスリン療法中。
「夜中に汗をかいて目が覚めることがある」と話している。朝は強い空腹感を感じることもある。

【国試風の問い】

看護師がまず確認すべき内容として最も適切なのはどれか。

  1. 就寝前の食事内容とインスリン使用状況
  2. 昼寝の長さ
  3. 入浴時間
  4. 新聞を読む習慣

【考え方のポイント】

  • 夜間の発汗や朝の空腹感は、夜間低血糖を示唆する手がかりになりうる。
  • 食事と薬剤のタイミングがズレていないかを見る視点が重要。
  • 糖尿病では、「症状」「生活時間」「治療内容」をセットで読むと迷いにくい。

低血糖の問題では、症状が典型的でも、背景を確認せずに答えると浅い理解になってしまいます。
国試直前期は、「なぜこの時間帯に起こるのか」まで考えるクセをつけておくと強いです。

パターン11〜15:生活習慣・食事・行動変容支援

糖尿病は、数値だけでなく生活そのものに関わる病気です。
そのため状況設定問題でも、「正しい説明」より「続けられる支援」が選べるかがよく問われます。

パターン11:食事療法が続かず「我慢ばかり」と話す患者

【ミニケース】

54歳男性。2型糖尿病。会社員。
栄養指導を受けているが、「食事療法って、結局ずっと我慢ですよね」と話し、最近は外食が増えている。

【国試風の問い】

この患者への支援として最も適切なのはどれか。

  1. 指導を守れない理由を厳しく確認する
  2. 現在の食生活を一緒に振り返り、無理の少ない改善点を探す
  3. 外食は禁止だと説明する
  4. 食事療法は難しいため運動療法だけを勧める

【考え方のポイント】

  • 行動変容支援では、患者さんの“できていない点”より“続けにくい理由”を探る。
  • 糖尿病の生活指導は、一方的な禁止より実行可能な調整のほうが有効。
  • 状況設定問題では、患者の発言の中に支援のヒントが隠れていることが多い。

このケースで大切なのは、「我慢」という認識をどうほぐすかです。
生活習慣の問題では、正論だけの選択肢は魅力的に見えても、継続につながらないものは不適切になりやすいです。

パターン12:仕事が忙しく受診が後回しになる

【ミニケース】

47歳男性。2型糖尿病。営業職。
「忙しい時期は病院どころじゃないんです」と話し、受診間隔が延びがちで、薬の飲み忘れもある。

【国試風の問い】

看護師の支援として最も適切なのはどれか。

  1. 仕事を辞めるよう勧める
  2. 受診や服薬が難しくなる場面を具体化し、続けやすい方法を一緒に考える
  3. 自己管理不足であると伝え、危機感を持たせる
  4. 血糖値が高くない間は受診を延期してよいと説明する

【考え方のポイント】

  • 継続支援では、生活の障害因子を具体化することが重要。
  • 糖尿病の自己管理は、意欲の問題だけでなく、時間・仕事・家族背景の問題でもある。
  • 「続けられない患者」ではなく「続けにくい状況にある患者」と見る視点を持つ。

国試の生活支援問題では、説教のような選択肢は外れやすいです。
患者さんの現実に合わせて調整する姿勢があるかを見ていきましょう。

パターン13:運動療法の内容が極端になっている

【ミニケース】

60歳女性。糖尿病と診断され、「運動しないといけない」と考え、急に長時間の運動を始めた。
その結果、数日で疲労感が強くなり、継続できなくなっている。

【国試風の問い】

この患者への説明として最も適切なのはどれか。

  1. 短期間で効果を出すため、さらに運動量を増やすよう勧める
  2. 無理なく続けられる運動量を一緒に検討する
  3. 運動療法は不要なので中止する
  4. 食事療法だけに集中するよう説明する

【考え方のポイント】

  • 運動療法は、続けられる強度・頻度であることが前提。
  • 糖尿病の指導問題では、「正しい理論」より「実行可能性」が問われやすい。
  • 患者の頑張りを否定せず、修正して継続につなげる支援が大切。

やる気がある患者さんほど、最初に頑張りすぎることがあります。
そのときに必要なのはブレーキをかけることではなく、無理のない形に整えることです。

パターン14:家族が食事療法に協力できていない

【ミニケース】

73歳女性。2型糖尿病。夫と2人暮らし。
食事療法について説明を受けたが、夫は「薄味では食べた気がしない」と言い、これまでどおりの味付けを希望している。

【国試風の問い】

看護師の対応として最も適切なのはどれか。

  1. 患者本人だけに説明し、家族には関与しない
  2. 夫も含めて食生活を振り返り、家族全体で無理の少ない工夫を考える
  3. 夫の協力が得られないため、配食サービスのみを勧める
  4. 夫婦で別々の食事をとるよう指導する

【考え方のポイント】

  • 在宅での食事療法は、家族の協力が継続に大きく影響する。
  • 個人の問題に見えても、実際には家族単位の支援が必要なことが多い。
  • 糖尿病の生活指導では、「本人に正しいことを言う」だけでなく「家庭で回る仕組み」に落とし込む視点が重要。

国試では、家族背景が出てきたらそこがヒントになることがよくあります。
生活を変える必要がある病気ほど、家族関係まで含めて考えると正答に近づきやすくなります。

パターン15:退院後の自己管理に自信が持てない

【ミニケース】

63歳男性。糖尿病教育入院後、退院予定。
「病院にいる間は規則正しくできたけれど、家に帰ると元に戻りそう」と話している。

【国試風の問い】

退院支援として最も適切なのはどれか。

  1. 退院後は自己責任で管理するよう強調する
  2. 退院後の1日の流れを一緒に確認し、続けやすい自己管理方法を具体化する
  3. 不安があるため退院を延期する
  4. 病院と同じ食事内容を毎日完全に再現するよう指導する

【考え方のポイント】

  • 教育入院後の退院支援では、知識確認より生活への落とし込みが重要。
  • 糖尿病の退院指導は、理想の指導より、現実の生活で再現できるかがポイント。
  • 「続けやすい具体策」に変換できる選択肢を探すと解きやすい。

退院支援の問題では、患者さんが不安に感じていることを具体化するほど正解に近づきます。
なんとなく頑張るではなく、どの時間帯に何をするのかを一緒に整理する支援が大切です。

パターン16〜18:合併症とフットケア

糖尿病では、慢性的な血糖コントロール不良によって合併症が進行するため、状況設定問題でも網膜症、腎症、神経障害、足病変がよく扱われます。
特にフットケアは在宅療養支援と結びつけて問われやすい論点です。

パターン16:視力低下としびれが出ている患者

【ミニケース】

56歳男性。2型糖尿病で内服治療を続けてきた。
50歳頃から視力低下を指摘され、1年前から足のしびれもある。最近は「細かい字が見えにくい」と話している。

【国試風の問い】

この患者の状態として考えられるものを踏まえ、看護師が重視する視点として最も適切なのはどれか。

  1. 合併症の進行を踏まえ、受診継続と日常生活上の支障を確認する
  2. しびれは年齢相応の変化として説明する
  3. 視力低下は運動不足が原因と考える
  4. 症状があっても血糖値が悪くなければ問題ないと伝える

【考え方のポイント】

  • 糖尿病では、網膜症や神経障害などの合併症が長期経過で現れうる。
  • 過去問でも、糖尿病と眼底検査の関連が問われている。
  • 症状を「年のせい」で片づけず、生活への影響まで見る視点が必要。

合併症の問題では、検査や医学知識だけでなく、「その症状で日常生活に何が起きるか」を考えられると強いです。
視力低下やしびれは、転倒やセルフケア困難にもつながりうるため、看護の視点で広く捉えましょう。

パターン17:足の傷に気づきにくい患者

【ミニケース】

74歳男性。糖尿病で在宅療養中。
足底に小さな傷があるが、「痛くないから大丈夫」と話している。足先のしびれが以前からある。

【国試風の問い】

この患者への説明として最も適切なのはどれか。

  1. 痛みがないので自然に治るまで様子を見る
  2. 毎日足を観察し、傷や発赤を早めに見つけるよう説明する
  3. 靴下は履かずに足を乾燥させるよう勧める
  4. 爪切りは深く短く切るよう説明する

【考え方のポイント】

  • 神経障害があると、傷があっても気づきにくい。
  • 糖尿病在宅療養者へのフットケア説明は近年の国試でも問われている。
  • 足病変の問題では、「痛みがない=軽い」ではないことを押さえておく。

糖尿病のフットケアは、単なる清潔ケアではなく、重症化予防そのものです。
足の観察を日課にできるよう支援することが、在宅療養を支える基本になります。

パターン18:フットケアの説明を受ける在宅療養者

【ミニケース】

68歳女性。糖尿病で在宅療養中。
外来で「足のケアって、何をすればいいんですか」と質問した。足の皮膚は乾燥しやすく、冬になるとひび割れができる。

【国試風の問い】

看護師の説明として最も適切なのはどれか。

  1. 毎日足の状態を確認し、保湿や清潔を心がける
  2. 足の異常があっても受診は定期受診時でよい
  3. 裸足で過ごすと傷に気づきやすいので勧める
  4. 靴は小さめのほうが安定するため勧める

【考え方のポイント】

  • フットケアの説明問題では、毎日の観察、保清、保湿、靴の工夫が基本になる。
  • 近年もフットケア説明に関する国試出題があるため、頻出分野として押さえたい。
  • 選択肢は「患者が明日から実行できる具体策」かどうかで見ると選びやすい。

こうした問題は、知識だけでなく患者教育の言葉に置き換えられるかが大切です。
看護師として患者さんにどう説明するかをイメージしながら読むと、選択肢の違和感に気づきやすくなります。

パターン19〜20:在宅療養と高齢者支援

最後は、実習や国試で出会いやすい高齢者・在宅療養のケースです。
糖尿病は若年〜中年のイメージを持たれがちですが、国試では高齢者の自己管理支援も非常によく出てきます。

パターン19:高齢者で低血糖症状に気づきにくい

【ミニケース】

82歳女性。2型糖尿病で内服治療中。
一人暮らしで、最近「ぼんやりすることが増えた」と近所の娘が心配している。本人は「年だから仕方ない」と話している。

【国試風の問い】

看護師が重視すべき視点として最も適切なのはどれか。

  1. 加齢による変化として経過観察する
  2. 低血糖を含む体調変化の可能性を考え、服薬や食事状況を確認する
  3. 家族がいないため自己管理は不可能と判断する
  4. 受診は本人が希望したときだけ勧める

【考え方のポイント】

  • 高齢者では症状が典型的でないこともあり、変化がぼんやり現れることがある。
  • 糖尿病の在宅問題では、本人の訴えだけでなく家族や周囲の気づきも重要な手がかりになる。
  • 「年のせい」という言葉が出たときほど、見逃しに注意する。

高齢者の状況設定問題では、疾患の典型症状がそのまま出ないことがあります。
だからこそ、普段との違いをどう捉えるかという看護の視点が問われます。

パターン20:訪問看護導入後の自己管理の再確認

【ミニケース】

79歳男性。糖尿病で訪問看護が導入された。
妻も高齢で、2人とも「説明を聞くと分かった気がするけれど、家でやると不安になる」と話している。

【国試風の問い】

訪問看護師の支援として最も適切なのはどれか。

  1. 説明は一度で十分なので、次回からは確認しない
  2. 実際の生活場面で手順を一緒に確認し、できている点と不安な点を整理する
  3. 不安があるため家族だけに指導する
  4. 在宅管理は困難なので即入院を勧める

【考え方のポイント】

  • 在宅支援では、「理解した」と「できる」のズレを埋めることが重要。
  • 訪問看護の強みは、実際の生活の場で確認・調整できることにある。
  • 糖尿病の自己管理支援では、繰り返し確認しながら自信につなげる支援が有効。

実習でも、病院ではできていたことが自宅では難しくなる場面を見たことがあるかもしれません。
そのズレを埋める支援こそ、在宅療養支援の核心です。

糖尿病の状況設定問題に強くなる勉強法

糖尿病の状況設定問題は、暗記だけで乗り切るのが難しい分野です。
ただし、よく出る場面はかなり決まっています。

  • インスリン導入と自己注射支援
  • 低血糖・高血糖の見抜き方と優先対応
  • 食事・運動・受診継続の行動変容支援
  • 合併症の進行と日常生活への影響
  • フットケアと在宅療養支援

過去問を解き直すときは、「正解を覚える」よりも、「この問題はどのパターンか」とラベルづけしながら整理してみてください。
たとえば、「これは低血糖+食事時間のズレの問題」「これはフットケア説明の問題」というふうに分類するだけでも、同じような事例に出会ったときの反応速度が上がります。

また、実習で担当した患者さんのことを思い出しながら読むのもおすすめです。
糖尿病の看護は、検査値だけではなく、その人の生活そのものを見る看護です。
状況設定問題でその感覚をつかめるようになると、国試対策だけでなく、臨床での考え方にもつながっていきます。

予告

糖尿病の状況設定問題が整理できたら、次は慢性腎臓病(CKD)編に進むのがおすすめです。
糖尿病腎症や透析導入前後の支援は、糖尿病とつながって出題されることも多いため、セットで押さえておくと理解が深まります。

すでに公開予定の心不全編とあわせて読むことで、「多疾患併存の患者さんをどう見るか」という視点も育てやすくなります。
国試直前期は、疾患をバラバラに覚えるより、関連づけて整理するほうが強いです。

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