【状況設定問題】成人看護学・心不全の頻出パターン20と読み解きトレーニング
心不全は、成人看護学の中でも看護師国家試験で繰り返し登場する重要テーマです。
特に状況設定問題では、病態の知識に加えて「患者さんのストーリーを読み取り、優先度を判断する力」が試されます。
このページでは、心不全にしぼって20のミニケースを用意しました。
1ケースごとに「状況」→「何を問われているか」→「考え方のポイント」の流れで整理しています。
過去問の解説を読むだけでは身につきにくい「読み方の型」を、演習形式でトレーニングしていきましょう。
心不全の状況設定問題で共通して問われる力
具体的なミニケースに入る前に、心不全の状況設定問題で共通して問われるポイントを整理しておきます。
- 誰か:高齢者か、働き世代か、他の慢性疾患を持っているか
- どんな経過か:初発か、再入院か、慢性期の増悪か
- 今どうなっているか:呼吸状態、体重、浮腫、バイタルサイン、検査値
- どの場面か:外来・入院初期・急変・退院前・在宅 など
文章が長くても、この4つの観点で情報を整理すると、どこに注目すべきかが見えやすくなります。
パターン1〜5:外来フォロー中の再入院リスク
まずは、外来フォロー中の心不全患者さんが「じわじわ悪化している」ケースから見ていきましょう。
再入院リスクをどのように見抜き、どう支えるかがポイントです。
パターン1:体重増加と息切れの悪化
【ミニケース】
72歳男性。慢性心不全で外来フォロー中。2週間前の受診時から体重が2kg増加している。
「最近、階段での息切れが前より強くなった」と話すが、「年のせいだから仕方ない」と受診をためらっていた。
食事は塩辛いものが好きで、外食も多い。利尿薬は時々飲み忘れている。
【国試風の問い】
看護師がこの患者に優先して行う支援として、最も適切なのはどれか。
- 塩分制限の重要性を繰り返し説明し、自宅での工夫を一緒に考える
- 体重と症状の変化を確認し、早期受診のタイミングを具体的に話し合う
- 利尿薬の内服を忘れないように、服薬カレンダーの使用を勧める
- 日常生活の活動量を減らし、安静に過ごすよう指導する
【考え方のポイント】
- 体重増加+息切れの増悪は、心不全悪化の重要なサイン。
- 「今すぐ再受診が必要か」「受診の目安をどう共有するか」がカギ。
- 選択肢がどれも大事に見えるときは、再入院予防に直結するかで優先度を比較する。
このケースでは、「体重と症状の変化を患者と一緒に振り返り、どのくらい変化したら受診するか」を具体的に話し合う支援が、
再入院リスクを下げるうえで特に重要になります。
食事指導や服薬支援も大切ですが、まずは「悪化のサインに気づき、受診につなげる」ことを優先して考えましょう。
【実習振り返りミニワーク】
あなたが実習で担当した心不全患者さんを1人思い浮かべてください。
・その患者さんには、どんな「悪化のサイン」を一緒に確認しましたか?
・受診のタイミングや体重測定の目安を、どのように説明しましたか?
パターン2:自己判断で利尿薬を増減している患者
【ミニケース】
68歳女性。慢性心不全。外来で「むくみが出たときに、自己判断で利尿薬を2錠飲んでいる」と話す。
「飲めば楽になるし、病院に行かなくて済むから」と笑いながら話している。
最近、めまいや立ちくらみが増えたと訴えている。
【国試風の問い】
看護師の対応として、最も優先されるのはどれか。
- 利尿薬の自己調整は危険であることを説明し、医師の指示通り内服するよう指導する
- むくみが出たときに利尿薬を増やすのは良い工夫だと伝え、継続を促す
- 自己判断で服薬を増やした理由を非難し、反省を促す
- めまいや立ちくらみは年齢によるものと説明し、様子を見るよう伝える
【考え方のポイント】
- 利尿薬の自己調整は、脱水や電解質異常を招くリスクが高い。
- 患者の「工夫しようとする気持ち」を受け止めつつ、安全な服薬行動に導く必要がある。
- 「安全」と「患者の尊重」を両立させる選択肢はどれか、という視点で選ぶ。
このケースでは、まず安全の観点から、利尿薬の自己調整が危険であることを理解してもらうことが優先です。
ただし、患者さんなりに「むくみを何とかしたい」という意図があるため、その気持ちを認めつつ、
「むくみが出たときはどうすれば良いか」を一緒に考える姿勢も忘れないようにしましょう。
パターン6〜10:入院中の急な呼吸苦・起座呼吸
次に、入院中の心不全患者さんが急に呼吸苦を訴える場面です。
ここでは、「安全と緊急性」をどう判断するかがポイントになります。
パターン6:夜間の起座呼吸とSpO2低下
【ミニケース】
75歳男性。心不全で入院中。夜間2時ごろ、「息が苦しい」とナースコール。
ベッド上で上体を起こした姿勢(起座位)になっている。
呼吸数は26回/分、SpO2 88%(室内気)、脈拍96回/分、血圧144/86mmHg。
【国試風の問い】
このときの看護師の最初の対応として、最も適切なのはどれか。
- 医師へ直ちに連絡する
- 患者を仰臥位に戻し、安静にさせる
- 体位を調整し、SpO2や呼吸状態を評価する
- 翌朝の診察時に医師へ報告するよう記録しておく
【考え方のポイント】
- 「まず何をするか」を問う問題では、観察と体位調整が優先されることが多い。
- 医師への報告は重要だが、その前に「今できる安全確保」を行う。
- 仰臥位に戻すと呼吸苦が悪化する可能性があり、不適切。
起座呼吸は、心不全悪化のサインの一つです。
この場面では、まず患者さんが少しでも楽に呼吸できる体位(高いファウラー位など)を整え、
SpO2や呼吸数、呼吸音などを評価したうえで、必要に応じて医師へ報告するという流れが基本になります。
パターン11〜15:退院指導・自己管理支援
退院後の再入院を防ぐためには、患者さん自身の自己管理が欠かせません。
状況設定問題では、「画一的な指導ではなく、患者の生活背景に合った支援ができているか」がよく問われます。
パターン11:一人暮らしの高齢者への退院指導
【ミニケース】
80歳男性。心不全で入院後、症状は改善し退院予定。
妻はすでに他界しており、一人暮らし。近くに娘が住んでいるが、共働きで日中は不在。
退院後も自宅での生活を希望している。
【国試風の問い】
この患者への退院指導で、まず優先して確認・調整する内容として最も適切なのはどれか。
- 毎日の体重測定方法と記録用ノートの準備
- 自宅近くのデイサービスの利用手続き
- 退院後の外来受診日と通院方法、緊急時の連絡先
- 塩分制限のための減塩レシピの紹介
【考え方のポイント】
- 退院直後に「絶対に外せない」ポイントは、受診と連絡手段の確保。
- 体重測定や減塩も大事だが、「医療へアクセスできるか」が土台になる。
- 一人暮らしであることを考えると、通院手段や誰が付き添うかも重要になる。
退院指導は項目が多く、すべてを一度に伝えようとして混乱しがちです。
状況設定問題では、「この場面で最も優先するのは何か?」を整理する練習だと思って、選択肢を比べてみましょう。
パターン16〜18:糖尿病・慢性腎臓病を併せ持つ心不全患者
心不全の患者さんは、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)を併せ持つことも多く、優先度の判断が難しくなります。
ここでは、複数の慢性疾患を抱えるケースのミニケースを取り上げます。
パターン19〜20:実習で出会いやすい心不全患者のケース
最後に、臨地実習で出会いやすい「比較的安定期の心不全患者さん」のケースを取り上げます。
実習記録と状況設定問題の「橋渡し」のイメージで読んでみましょう。
ミニケースを通して、心不全の「型」を自分のものに
心不全の状況設定問題は、一見バラバラに見えても、よく読むと「同じようなパターン」が何度も登場します。
ミニケースを通して、自分なりに「これは外来フォローの悪化パターン」「これは退院指導のパターン」と
ラベルをつけていくと、問題を読むスピードも正答率も少しずつ上がっていきます。
次の記事では、同じスタイルで糖尿病編のミニケースを取り上げていきます。
心不全編で使った「読み方の型」を、そのまま糖尿病にも当てはめながら、状況設定問題に強い「パターン感覚」を一緒に育てていきましょう。

